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コロナおこもりの記録-前編-


年末年始、流行り病に倒れた。
コロナ体験記は色んな方が書いていると思うが、私なりに貴重な経験だったので、こんなかたちで残しておく。なにかのお役に立てば幸いです。
前編&後編に分けます。

—ドタキャン旅行-

丁度、年越し旅行に行く前日に喉が痛み、声が出しづらくなった。この時点では、まだ旅行に行くつもりだったのだが、なんだか調子がおかしい。熱をはかってみると、37度を少しこえていた。これはいけない、と思い一緒に旅行に行く予定だった、サロマ氏に連絡。

サロマ氏は、さすがの頭のはやさで、バスのチケットや宿のキャンセルをすぐに調べてくれた。一人旅でも楽しんできてほしかったし、なんなら他の人を誘って行ってもらい私が旅費を負担したいくらいだった。でも、「一人で行っても悲しいだけだから」と、全予定をキャンセルしてくれた。痛み入ります・・・。

年末の忙しさで、ずっと会えていなくて(といっても2カ月くらい?)、話したいことを山盛りに溜めていたので、ほんとうに無念。私も、悲しみにくれた。

—うそつき抗原検査キット-

私の熱はあれよあれよという間に上がった。でも、「まさかな」という思いもありつつ、無料のコロナ抗原検査キットを注文して、さらにネットスーパーでも1000円ほどの検査キットを購入。翌日の昼に恐る恐る検査をしてみたところ、その時点では陰性だった。

コロナだったら、最近一緒に食事した友人に顔向けできない。もし、職場でも菌をばらまいていたら、それで高齢のご家族なんかにうつしていたら、、、と思うと血の気がひいた。

感染リスクは十分わかったうえで行動していたつもりだったけれど、この頃は慣れというか、感覚もだいぶ麻痺していたな、とずいぶん反省した。

陰性だった、そのはずが、なんだかずっとよくならない。インフルエンザだろうか…という不安を抱えたまま、大晦日を迎える。具合は大抵夜間に悪化する。12月30日の時点で、はやめに病院へ行くべきだったかもしれない。

—声の出ない大晦日-

声が全くでない、大晦日は開いてる病院も少ない。声がでないため、「発熱している場合はかならず予約をしてから来院してください」というルールを見て、自分の立場の弱さに涙がでた。電話ができないのが、こんなに困ることだとは知らなかった。

朝、8時半になったら病院の受付が開くみたいだ、友人が代わりに電話してくれることになった。喉が痛くて痛くて、一睡もできないまま朝になる。一刻もはやく病院へ行きたかったのに、代わりに電話を頼んでいた友人Sはどうやらまだ寝ている!困った!

そんなときにサロマ氏からLINEが入る。わ!病院に電話するのを頼もう。ここでサロマ氏から着信あり。「声ださなくてもいいから・・・安心するかと思って、電話した」とのこと。優しさに、声で答えられないもどかしさ。「あの…代わりに病院に電話してほしいの」という一言が伝えられない。

メッセージでなんとか伝わり、代わりに電話してもらえることに。ありがたい。病院探しは苦戦。どこも電話が混んでいるそうで、私以外に具合が悪い人がたくさんいるのだということに思いを馳せる。

幸い、家から歩いて20分ほどの病院に電話が繋がり、受け入れてくれるそうだ。タクシーを呼ぶか迷ったけれど、歩きながら拾えたら拾う事にして家を出る。防寒をしっかりして、保険証と、財布に現金と、コートのポケットにinゼリーを忍ばせた。

タクシーは拾えなかった。無心で歩き、寒風に吹きさらされながら病院に着く。

―筆談サヴァイブ―

受付で「声がでなくて、先ほど友人に電話してもらいました」と書いて伝えるが、ぽかんとした顔をされる。話がうまく伝わっていないらしい。

「熱が38.6ありました、今はありません」

と書くと、あぁなるほど・・・というような顔をされ、問診表を外で書いて、そのまま待つように指示される。

病院玄関外には5脚ほど椅子が置いてあり、発熱で中に入れない組がそこに座って順番を待っていた。寒くて寒くて、そのまま凍死するかと思った。

両の鼻で、それぞれインフルエンザ検査とコロナウイルスの検査をする。鼻の穴ってこのために2つあったんでしょうか……。鼻、痛い。なんでもいいから早くして…とされるがまま。検査をしてくれる防護服のおばちゃまが、涙目になる私をみて「ごめんねぇ」と言う。

しばらく待つと、医師と看護師がセットでやってきて「残念ながら、コロナ陽性でした。でも治るから、大丈夫ですよ」と、あっけらかんとした様子で言われる。

ジェスチャーで、喉が痛くて声がでないんですと伝えると

「声もね、まあ出るようになるんで大丈夫ですよ。ストレートの紅茶でうがいして」

とだけ言い残し去って行った。なんだ、それは。こんなにつらい思いして来たのになぁ~とムカつきながらも、医療体制の人手不足を思い、仕方ないのかと思う。

紅茶葉は、ちょうど一昨日きらしたばっかりで家にないよ!わずか3日分の薬をもらい、歩いて帰宅。ひとりぼっちの隔離期間のはじまり。

―つらいよと言いふらしたい―

心配させていた数人の友人たちに、コロナ陽性でしたと報告する。ああ、情けない。喉が痛いよ~と言ってもなにも解決しないと分かっているが、言わないとやってられない。

年末に食事した友人へ、心からの詫びの連絡を入れる。「こちらはなんともなく無限にご飯をたべているよ」とのこと。実家に帰省すると聞いていたので、万一うつしていたらと震えていた。とりあえず無症状とのこと、誠になによりであった……。

待ち時間で体の芯まで冷え切ってしまったので、お風呂を沸かし、湯舟につかってみる。体力を奪われない程度にあたたまる。瀕死の状態でなんとか髪を乾かし、布団にもぐりこむと、すこし安心した。なんにせよ病院に行けてよかった。

後編につづく。


エチカ

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