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ハミングバード③【2018~2021】

世間で言う高校生に進学した時期、中高一貫校に進学している者はまたの名を中学4年生の時期、私はYouTubeを見ることにどハマりしていた。主にゲーム実況を好み、数少ない友達と見ている動画は多く被っていたように思う。


ある日、1人の実況者がいつもとテイストが違う動画を投稿する。ベースを弾いてみた、というもので投稿主が楽器を弾けることを初めて知った私はその動画を覗いてみた。


私のフィルターバブルをぶち壊すきっかけとなることも知らずに。


動画を流して数十秒後、私は目よりも耳に神経が研ぎ澄まされていた。それまでひとつのアーティストに極振りで曲を聴いていた私にとって、この楽曲は新鮮さそのものだった。Bメロから転調する形でサビへと進行していくキャッチーさ、ファンキーな歌詞。目から、いや、耳から鱗であった。



依存体質な私はこの日を境にsumikaにハマり始める。それまで知っている曲をひたすらにループしていた私にとって、sumikainkは新たな地図そのものであった。


彼らの紡ぎ出す音や言葉には確かな感受性を強く受け取れ、ボーカルの歌声には輪郭がくっきりと浮かぶように生命が宿っているように感じた。ここまで背中を押してくれる音は無いと、少し羨ましく感じる程であった。


MVの曲を永遠に回し続けることにマンネリを感じ始めた頃、sumikaが新たなアルバムを出すと知り速攻購入。CDを買うことが少ない私にとって、購入から開封に至るまでのこの時間は何にも代えがたい至福の時間である。


所謂応援歌のような曲だけで無く、大人のダークな部分を映し出す曲や切なさを含む曲を随所に、的確に出していく。Chimeはまさにひとつのワンマンライブのような構成であった。



Chimeを存分に楽しんだ後、sumikaのライブはどのくらいのものなのだろうかと純粋に気になっていった。sumikaはライブイベントへの活動が特に活発なバンドであり、その評価も非常に高い。


Chimeリリース記念のライブツアーが決定していることを知った私は慣れない申し込み画面をどうにか退治し決闘を申し込む。数週間後、抽選結果発表。武道館、当選。


中学受験に受かった時よりも渾身のガッツポーズ。兎のようにピョンピョン飛び跳ねる1人の青年。



初武道館ライブ、初sumikaライブに心躍らせ1人で参戦した。ほぼ天井席に位置してしまったのがライブ前は唯一の残念ポイントであったが、ライブが始まれば、その位置は観客全員の身体の揺れや身振り手振りが全て見える席であった。


顔を見ずとも、この人たちはきっとすこぶる大きな笑顔でsumikaを見つめているのであろうと容易に想像できた。一球入魂の演奏、メスティンの言葉。あの記憶は今の私を救い続ける宝物になるであろうと今でも思えている。



限界の人間をギリギリで救ってくれるのは、お金でも、地位でも、名誉でもなく、記憶。



それはきっと人が、物が、どうなっていようが変わることの無い、かけがえのないモノ。記憶の引き出しにいる限り私たちは宝物と一緒に生きていくことが出来る。


大切な考え方をこのバンドから学べたと、心の底から思っている。





全く新しいような音楽に触れた私はそれ自体に好奇心を抱いただけでなく、世の中には様々な音があることを知り、とても興味を持つようになった。


善は急げ、YouTubeで様々なアーティストの曲に触れ始めた。indigo la Endで想いきり、ネクライトーキーでオシャレ大作戦、フレデリックでオンリーワンダー、など、など。


しかし外出時に曲ディグをやる訳にはいかない。4GでYouTubeを開く行為はスマートフォン界のシン・ゴジラ、通信制限を呼び込んでしまう。


テスト勉強をする時、近くの図書館に足を運んでいた私はケースに勲章が付き始めたウォークマンを相棒にしていた。が、そんな相棒もそろそろ変えたくなってくるお年頃だ。


何か無いか、無いかと探しテスト勉強(の休憩中!!)見つけ出したのが、サブスクリプションサービスAWAの1日無料体験である。


目をギラッギラに輝かせた私は昔から気になっていたハンブレッダーズのミニアルバムを再生してみた。



…何この神サービス。

んでもってすげえぞ、ハンブレッダーズ。


ゲス極信者の青年から音楽が好きな青年へ翼を広げて飛び立つ為に、帰宅後速攻LINE MUSICを契約した。何故かAWAでは無い。


サブスクとはまさに魔法のアイテムだった。CD派のアーティストもまだひと握りほど居てサブスクでは聴けない曲もありつつ、それでも契約したその日から手放すなど有り得ないサービスであることは確信することが出来た。


Half time Old、Saucy Dog、サイダーガール、時にはヨルシカも聴いていたとか。DADARAYやジェニーハイなんかも触れた。アーティストに絞らなくても沢山の音楽を、LINE MUSICを相棒に聴いてきただろう。


サブスクに慣れ始めると1ヶ月単位でお気に入りの曲を集める遊びを始めた。月の前半で8曲集め、後半にその曲を回しまくる。イヤホンに宇宙を忍ばせながら私は毎日の通学を楽しんでいた。



大学受験の勉強期間も、私の横には“君”がいた。それは人生の装飾品ではなく、確かに生きる原動力となっていた。J-popが、サブスクが無ければ、私は受験勉強に対し何を重りに心のモーメントを等しく保っていたのか想像が付かない。


私の人生を動かす脚は、疑いようが無いほど間違いなく、“音楽”だった。




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