アニメ「16bitセンセーション」感想(2話まで)

 16bitセンセーションを2話まで見る。特定の世代の、特定の趣味嗜好を持った人物には、ナナメ方向から鋭角にブッささるクリエイターの名前を目にしたのと、PC-98のゲームを模したドット絵によるプロモーション画像にひどく想像力を刺激されたことが視聴のきっかけでした。「"To Heartから20年"的な内容を、斬新なドット絵アニメによって表現する、今期の鉄板ヘゲモニー」みたいな期待のブチあげ方をしていたこちらが悪いと言えば悪いのですが、正座待機の眼前に始まったのが、脚本・演出・アニメーション、いずれをとってもひどくチープな「クオリティが低い側の昭和アニメ」だったのには、心の底からガッカリしました。全体的にただよう古くさい雰囲気ーーテーマ由来ではないことを強調しておくーーの中でも特に問題なのは、主人公のキャラクター造形でしょう。2023年現在、高卒で就職していると仮定して、いまどきのハタチ前後にこんなシーラカンス級のオタク女子などいるはずもなく、ほとんど「最後に個体の生存が確認されたのは十数年前」みたいな記載がレッドデータブックにあるレベルで、作り手の感覚と観察が、ある時代で完全に停止してしまっていることを如実に表しています(「どん底のぞこ」って口グセもだけど、令和の御代にこんなキャラ立てする?)。

 さらに言えば、エロゲーの歴史を語るのに秋葉原を無思考のオートマチックで持ってくるのも、シンカイ・サンが先鞭を付けてしまった「地域振興結託アニメ群」を前にすると、アンテナの低さみたいなのを感じざるをえません。もちろん、関西在住のオタクとしていつもの「トーキョー部族の内輪ウケ」に対する恨み節が半分なわけですが、ここまでの内容的にも、秋葉原という土地は別の場所へ置換可能ですので、恵美須町駅から南海難波駅に至る一帯ーー日本橋と書くと部族の偏った知識に誤読されてしまうーーを舞台にするぐらいの機転はきかせてほしいものです(初めて言いますが、拙テキスト「美少女への黙祷」の舞台はここです)。3話以降が「スタートアップ企業の部活動的な楽しさ」に再び焦点を当てるのか、「エロゲー黎明期に存在したロストテクノロジーの博物館的保存」を目的にするのか、はたまた「レッドデータ少女の大作エロゲー制作奮闘記」が描かれることになるのか、いまの段階ではまったく予想がつきません。ただ、2話までの印象は、高い期待が反転した結果としての「どん底のぞこ」であることをゲイカ、お伝えしておきます。

 アニメ「16bitセンセーション」感想(最終話まで)

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