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壁に描く

私が初めて店舗の壁に描かせてもらった時は友人からの依頼で
(えー!こんなところに描くの!?そんな技術ないよー)
とお断りした。しかし相手はしつこかった。
何度も私に絵を描けと食い下がってきた。なかなか変人だった。仲が良い友人なのではっきりいうが彼女はちょっとクレイジーだったのだ。

その時私に絵の神様がほほえんだ。
…かはわからないけど、結局私は彼女の熱意に負けて依頼を受けた。結果とても楽しかった。

飲食店壁画

でかい壁にでかい絵を描くのはとても楽しい。
腕を伸ばしてしゃがんだり這いつくばったり体を動かす。
運動が大嫌いな自分はすぐ筋肉痛になる。

絵を描く仕事はパソコンや紙に向かい黙々と進める作業が多い。私も普段は毎日そんな感じ。
壁画のお仕事になると道具や材料を担いで現場に行って壁と対峙する。
とっても労働。その後のビールは最高においしい。
絵とはなんだろう。ギャラリーで鑑賞するアート。漫画やアニメのキャラクター。本の挿絵。旅先のスケッチ。誰かに送るポストカード。

私が壁に描いた絵を眺めて親子が話をしている。あ、ここにカバが描いてあるよ!あそこに描いてあるのはなんの動物だろう?色がすごいねぇ。
小学生位の娘さんと優しそうなお母さんが大きな絵本を開いて楽しむみたいに絵の話をしている。

私が思う絵はコミュニケーション。
壁に描かれた何かを眺めての会話。そんな場面に出会えるととても幸せなのであーる。

さて、特に理由があるわけではないけれどなんとなくここまで読んでしまったあなた。ありがとうございます。そんなあなたにずっと奥歯に挟まってた一粒の胡麻がポロッとはずれるような小さな幸運が訪れますように。

制作風景



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