来年の手帳

ここ数年、ずっとQUOVADISの見開き1週間タイプの手帳を使っている。フランスのメーカーのものだけど日本仕様にちゃんと日本の祝日が入っている。手帳を選ぶポイントは、六曜が書いていないこと(あると大安や仏滅をつい意識してしまうから)、紙が真っ白じゃなくクリーム色なこと、だ。これはおまけに月の満ち欠けや世界地図が載っていることも好ましい。
その手帳カバーは明るい水色でピンクの糸でステッチが入っている。
とにかく毎日使うものなので気に入ったもの、色がいい。

去年も今ごろ2020年の手帳を買って記念日や身近な人の誕生日を記していた。
私自身の大きめな病気の発覚もあり、かなり暗く不安な幕開けとなる2020年の予定(検査や診察)を書いていた、「1年後はどうなっているのだろう」など考えつつ。
1月はセカンドオピニオンを得た病院で信頼できる医師に出会い治療方針が明確になり、明るい予定もあって比較的楽しく過ごせた。
しかし2月終わりくらいから、世の中が不穏な空気に包まれてきた。新型コロナウィルスなんて新たな言葉を毎日見聞きするようになり、私の生活もガラリ変わってきた。

春になり、治療は続いていたけれど、それ以外にあれこれ考えることが増え(仕事はテレワーク中心に、小学生の息子はしばらく休校に)生活リズムが今までに経験したことのないものとなった。

夏前には世界中が混乱し、オリンピックも(とりあえず)2020年の開催はなくなってしまった。1月に新国立競技場の外側まで見に行っていた私は、なんだか淋しくぽっかり心に穴の空いたような気持ちになった。(パラリンピックを観る予定があったのだ)
それから予定していた手術を7月に終え、数ヶ月間会社を休職した。自分だけ呑気に休んでいてもいいのだろうか?という気持ちと、傷の痛みと継続して飲む薬の副作用で身体が思うようにならないジレンマで悶々とした日々だった。

おまけに14年間ずっと一緒に暮らしてきた愛猫が天国に逝ってしまった。
もう、あれこれ落ち込んだり混乱することばかりの2020年だった。
でも、私はこうして来年の手帳を買って、新しい日々を迎えようとしている。
生きてる、ただそのことをありがたいと思えた手術後のことを思い出した。

嫌なことがあったり、先のことで不安に駆られる夜、私は「あしたはあたらしい日」と呟いて眠ることにしている。
毎日新しい日が来るのだ、誰にでも。今日と地続きだけど、明らかに今日とは違う新しい1日。
毎日それを繰り返すのみ、だ。

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