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大雪の笠(傘)地蔵

雪は、雨に変わるという。
私は、最近激安の量販店で買ったばかりの折り畳み傘を出勤時持っていくことにした。
その折り畳み傘、元値は1000円だったようだか私は290円で購入した。コンパクトだし、なによりカラフルな縞模様がシャレている。
普段は、自転車に乗るのでもっぱら雨はレインコートなのだが、今日は雪から雨。
自転車には乗れない。
新品の傘の出番になった。
朝は、傘をさすほどではなかったので帰宅時ワクワクしながら新品の傘を開いた。
開いて直ぐに違和感。
なんだか持ち手が異常に短いのだ。持ち手だけではない。傘そのものも小さい。
150㎝の私の体を全くおおってくれない小ささだ。もしや開ききっていないのかと、持ち手を上下してみたがそれ以上開くことはない。体に合っていない傘を持つというのは、なんだか恥ずかしいものだ。
持ち手が短いので上に持ち上げると手が疲れる。疲れるので手を下げると傘が頭の上にぶつかる。いや、頭の上に乗る。
既に傘ではなく笠だ。そう、それは小学生の時に皆で踊った花笠音頭の傘のようだ。
私は、笠(傘)を頭に乗せて、雪道をソロリソロリと歩いている。途中、窓に映った自分を見ると、それはもう笠地蔵のよう。年末助けてもらった爺様へ恩返しに行く笠地蔵。
雪道をソロリソロリではなく、ジョイヤサー、ジョイヤサー歩くのだ。爺様の家はどごだー。
そう思ったら笑いが込み上げてきた。マスクの下の口元はゆるみっぱなしだ。マスクをしていて良かった。
家に着いたらもちろん全身びしょ濡れだ。
笠(傘)の出番はもうないかもしれない。

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