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「第4回 翔の会」

最近、山田流の演奏があると聞くと、つい馳せ参じてしまいます。
山田流らしい歌や、風情のある曲にとても惹かれます。
というわけで、山田流の演奏家の会「邦楽ぐるーぷ翔の会」に行って参りました。

第1部は、埼玉県立川越女子高等学校箏曲部との合奏。
「六段調」と「ひぐらし」

紡ぎ出される一音一音から、ひたむきに、真摯に取り組んで来られた情景が、ありありと浮かびます。
きっと、部員全員で、悩み葛藤しながら、ここまで作り上げてきたのでしょう。
青春のキラキラが、そのまま音になったような演奏は、聴いていて、とても心浮き立ちました。

第2部は、翔の会みなさまの演奏。
「四季の遊」からはじまり、「春の曲」、「ほととぎす」、「行く秋」
そして最後に「小督曲」

「四季の遊」は四季それぞれの楽しく美しい情景を描いています。
お囃子が入り、様々な楽器?が登場したのも楽しかったです。
太鼓や鼓はもちろん、さらには小さな笛で、鶯や虫の声を。
オルゴールという楽器で、星のきらめきも表現されていました。

春から秋の曲は、それぞれ、情緒風情があり、雅やかな世界に引き込まれます。
俗世間でバタバタする日常から、異次元の世界へ旅をさせていただきました。

最後の「小督曲」は山田流箏曲に4曲ある、奥四曲(おくよつもの)という名曲のうちの一つです。
(他は「熊野(ゆや)」「葵の上」「長恨歌の曲」)
↑という解説は、1月に聴きに行った国立劇場「邦楽鑑賞会三曲の会」のパンフレットより拝借いたしました。

「小督曲」は平家物語の中の小督局(こごうのつぼね)のお話しを元にした曲です。
小督局のお話は人気があったようで、能にも生田流箏曲にもあります。
生田流の曲が、1月の三曲の会で聴いた「嵯峨の秋」です。

同じテーマながら、曲は全く違います。
「小督曲」は、秋の景色の描写から、箏の音が漏れ聞こえてくる様子、雅楽のような不思議な音色などがあり、とてもドラマチックです。
聴くのは楽しいですが、演奏するのは大変そうです。
「奥四曲」と言われるのがとてもよく分かります。

ところで、今回は、急遽代役で演奏された曲が2曲ありました。
ご出演が叶わなかった方は、聴きたい奏者さんでもありましたので、残念に思いました。
しかし、一番悔しかったのは、ご本人でいらしたことでしょう。

そして、当日の朝、打診があったという代役を務められたお二人。
2曲とも、そんなことを全く感じさせない、素晴らしい演奏でした。
プロの演奏家の力を見せつけられました。

こんな方々が同じ時代にいて、今、目の前で演奏してくださるのを聴くことが出来るなんて。
我が身の幸せをつくづく感じました。

今日もまた、幸せな気分で家路につきました。

*箏の波では、演奏会情報をご案内しております。是非、生の演奏を聴いてみてください。

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会場 江戸東京博物館 大ホール
日時 2022年3月26日(土) 15:00
プログラム・演奏

六段の調 八橋検校 作曲
 箏本手 山登松和 中島葵 加藤茉莉花 深澤凜世
     岸田吏代 坂東優衣 平田千陽 上凜花
 箏替手 樋口千清代 斎藤瑞香能
三絃 中彩香能 尺八 田辺頌山
ひぐらし 中能島欣一 作曲
 箏第1替手 岸田吏世 加藤茉莉花 深澤凜世 上村和香能
箏本手   中島葵 坂東優衣 平田千陽 上凜花
箏第2替手 佐々木千香能 船越まゆみ
三絃 五十川真子 尺八 善養寺惠介

四季の遊 三世山登松齢 作曲
 箏 佐々木千香能 斎藤瑞香能
 三絃 中彩香能  囃子 福原百之助
春の曲 吉沢検校 作曲
 箏替手 五十川真子 箏本手 山登松和
ほととぎす 山田検校 作曲
 箏 上村和香能 三絃 山木千賀 尺八 善養寺惠介
行く秋 中能島欣一 作曲
 箏 船越まゆみ 三絃 樋口千清代
小督曲 山田検校 作曲
 箏 山登松和 樋口千清代 三絃 山木千賀 尺八 田辺頌山 

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