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真夜中の独り言
日が沈んで、夜が来る。
静まり返る世界の中で、瞼を閉じる。
目を閉じて、明日がくるのを待っている。
明日、とはどこからが明日なのだろう。
日付が変わったら?目が覚めたら?
眠らなかったら明日は来ないのだろうか。
いつの日か、目が覚めない朝がくることを私たちは知っている。
知っていてなお、いつ来るか分からない終わりの明日に向かって進んでいる。
横で老猫がかすかな寝息を立てる。
あまりにも静かなとき、時折私は彼女の毛並みに触れて、その暖かさを確認する。
今年で15歳。あと何年生きるだろう。
5年、3年、1年、明日ーその柔らかな呼吸が止まる日は誰も知らない。
私は隣に座る生き物がこわい。
私が眠っている間に、その腹の豊かな上下が止まってしまうのではと思うとこわいのだ。
その瞬間が、私の知らない時であることが、こわいのだ。
言葉もなく、ただただ呼吸の感覚が空いていく時間の不安が、
身体の芯にへばりいて消えない。
吐いて…吸って………吐いて………吸って…………吐いて……………吸って
私も、あの人も、この猫も、いつかその呼吸が止まる日が来る。
夜瞼を閉じる時、明日の目覚めは誰も保証してくれないのに、私たちは眠る。
そのことに気付いてしまった私は、隣に座る猫の小さな鼓動を確かめながら、眠れない今日を過ごして明日を待っている。
そんなとある真夜中の独り言。
最後まで読んでくださってありがとうございます。