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34歳、バツイチ子なし

いつからだろうか。
周りとは少し違う道を選択してしまったなと思ったのは。
高校卒業後に留学を決意した時だったか。
3年働いてまた大学生に戻った時だったか。
20代前半の頃の私は、自分で選んだ道なのだから
人と違っていても別に良いんだと思っていた。

それが、いつからだろうか。
今更手遅れなことくらい分かっているのに
やっぱり普通でいたかったと思ったのは。
5年遅れで就活を経験した時だったか。
5年という歳月の中で大きく変わってしまった
周りの友達の生活を目の当たりにした時だったか。
それとも離婚を経験した時だったか。

ただ普通に大学を卒業して
ただ普通に好きな人と出会って
普通に恋をして、普通に結婚をして
普通に子供ができていたら
どんなに幸せだっただろうか。
と、ふと考える時がある。

将来の夢を紙に書いた小学生時代に
いま戻ることができたとしたら
女優や、通訳や、キャビンアテンダントを消して
私は迷わず「お母さん」と書くだろう。
あのとき「普通」だと思っていたことは
いまの私にとっては
とてもかけがえのないことのように思える。

34歳、バツイチ子なし。
私を形容する言葉には
「バツ」や「なし」が入っている。
自分で選んだ道なのだから
一生背負っていく覚悟でいる。
今更そうでない人生に戻ることはできない。

だけどこの道だったから出会えた人や
得ることのできた経験や学びがある。
当たり前のようにやってくる毎日を
有り難いことだと思えるようになった。
今の私は、好きな人と過ごす平凡な日常を
今日もありがとう、と感謝をしながら
心穏やかに生きることができている。

人と違う道を歩んでいる中で
知らず知らずのうちに失っていた
大切な何かを取り戻しているような感覚。

欠けていたピースを拾い集めた結果
普通に戻ることができる訳ではないけれど
いつか34歳を振り返るときが来たら
「マル」で「あり」だと思えるような
そんな人生になるといいな。

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