詩をプレゼントした(2)#ミスiD2022

ツイッターで、#いいねしてくれた人がもし詩だったとしたときの最初の一文を考える というのをやってみた。そしたら思っていた以上にたくさんの人の目にとまり、詩の千本ノック状態になったのだが、これが良い目の回り方という感じで心地よかった。今まで書きたいことはある気がしてもなかなか取っ掛かりがなかったのが、テーマさえあれば書けるということがわかった。詩にしてほしい人がたくさんいるということもわかった。

なかなかいいものが書けた気がしたので、みなさんへの感謝とともに、ここにまとめます。たくさんある、第二弾。

絶世の美女は暴力です、モーツァルトなんて僕に聞かせないで、息をつく隙もないほどの称賛の雨、現代、雑音、後ろ髪引かれるほどあの子の名前が好きだった。
金澤ゆまさん @mayby_superstar

きみの好物がたべられないからぼくは永遠の鉄格子の中にいる、雑踏の中では悪意も優しさも振動として伝わるね、新しいドレスが似合ってないねときみにいらない嘘をつく。
岡田 悠さん @Yu_Okada

鏡よ鏡、と呟いたのに目をとじて、世界への嫉妬を磨き上げたみたいな赤いりんごになれたらいいね、満たされなかったなんてほんとうは嘘だったんでしょう。
ゆうぴこさん @yupiko_k1010

プライドと虚勢はどちらが果たして正義ですか、美しくないものでも生存していられることが不思議と腑に落ちる、希薄な愛の輪郭を、今日も身に纏う、わたしはきれい。
にょんそさん @nyontaso

見たことと聞いたことしか信じないのと同じくらい、夜に果物を齧るのは耽美なことです、部屋の隅にうず高く積まれた、愛の質感を失った紙切れ、都会の暮らしは甘美です。
わたりさん @naoki_scat

だれかの心がどうしたってこもってしまうから、万年筆はきらいです、廊下を歩くだけなのにどうして足音が鳴ってしまうの、ぼくは、海の底に沈む鳥になりたかった。
サブレさん @hotarururu48

誰もいないのにおはようって言って、それくらいで救われる世界なら消えてしまえばいいと思った、代わりにわたしがとうめいな愛になります、世界平和をかたるきみの役に立つため。
アミ・アムアイさん @AmIAm73

コーラの甘みを味方につけて、軽率に愛を歌ってもいいですか、夜が溶け出す間際の、生き物がしんだような静寂、ぼくの正義感だけがピアスのように光っていて。
小国さん @Hanasihasinai

三日月より満月が好きなことを贅沢だと思ってしまう、おげんきですか、みちたりていますか、渇望とは程遠い、孤独は果実にとって猛毒です。
はちみつさん @hachimitsutaro_

機嫌のいい猫なんて存在しません、僕には理解できないことだった、花の名前なんてないほうがよかった、お構いなしに降り注ぐ悪意や、空想や、排気ガスの混じった重たい空気、そこから栄養を吸い取って蓄えて育つ植物になりたい。
渡辺可奈子さん @150cmxg

あなたは優しい子、と褒める言葉は呪いです、そんなこと忘れてしまうようなひんやりとした朝の、草の匂いが好きになれなくて、ああわたしは優しくないんだと思った。
西島朱里さん @akario

さみしいわたしが一番きれいなの、約束は破られるから、カップケーキの上の毒々しいほど色とりどりの砂糖を口いっぱいにほおばって、かなしくないよと強がりを言う。
さざえさん @saeven75

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