わたしが東京にいる理由 #ALT図書館

『#ALT図書館』というTwitter企画に参加させていただきました。

写真:
水憂@wasureru22

企画:
はしこ。@hasiko_、無限@chan_mugen

わたしが東京にいる理由

「演劇がしたいならここにいちゃだめ。ここには何もない。」

体感としてはもうこちらにいる人生のほうが長いような気がしていたが、まだ地元にいた年数のほうが断然長いのだった。物心ついてからをカウントすることにすれば、やっと半々くらいか。とはいえ、現在のわたしの自我が芽生えたのは25歳くらいからだと本気で思っているから、もうすっかり東京の人間の顔をして生きている。

12年いても東京タワーには行かないものなのだ。僕の部屋からは東京タワーが見えるよと、機嫌よく言っていた男の子、その部屋の本棚に押し込まれていた、わたしの知らない女の子に渡せなかったのであろう指輪を見てしまってから、その部屋に行くことはなくなった。

東京の、都会の暮らしから離れるのがこわい。それは、東京でそれなりに暮らしているという自負がなくなったらわたしには何もなくなってしまう、と、必要以上に卑屈なわたしが言うからだ。

感度の高いプレゼントを人に贈ったり、ミニシアターでしかかからない映画を観て小難しい感想を呟いたり、行きつけのバーの常連仲間とカルチャーについて話したり、そういうこまっしゃくれたシティな生活をアイデンティティにしていることを、時折、東京かぶれだと自虐するわたしがいる。

でも、しばしこの若者時代に浸らせてくれ。わたしは幸せなんだ。

シネコンしかない地元のイオンの無害な風景に溶け込んで暮らす人生とは、もう少しだけ離れていたい。

「演劇がしたいならここにいちゃだめ。ここには何もない。」

まだ子どもだったわたしに、地元の子どもミュージカルの先生が言った言葉だ。
記憶で補正されているかもしれないが、その先生にしては鋭い言葉だったから、今でも忘れられずにいる。

尖れるうちに尖っておこう。わたしは今日も東京で暮らす。

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