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「ところで日本設計は、ここで何やっているの? あなた誰?」

組織設計事務所、という集団で、会社です。高層ビルや図書館・水族館の設計や、長い年月をかけて取り組む再開発事業といった、比較的大規模な建物建設に関わることが多い会社なんですが、「ことまちプロジェクト」で一体何やっているの?というおそらくこの時点においてサイレントだけれどとてもマジョリティーと思しきクエスチョンに対してお答え申し上げます。日本設計の古田です。
そうなんです、私たちがこのような街を動き回ると、何?再開発?と聞かれます。ところがここではそうではありません。これからの、というよりも今までも、なんですが、たくさんの建物・土地の地権者さんをまとめてひとつの大きな建物に押し込んでいく、という「街づくり」(かなりハード寄り)だけで、街全体(その大きな建物の「周辺」も含め)が楽しくなっていく、潤っていくということではないと考えてました。勿論、それが必要だという所もまだたくさんあるでしょうし、この地域の中にも近くにもあります。ただそういう「再開発」がありきではない街づくり・・・一つ一つの不動産を活かした、リノベーションを中心とした街づくり。経年で更新していくことは避けられませんので個別の建替、ではこの際一緒に~という共同の建替などもあって良いですが、それら建物内に住まわれる方々、またお店を出しておられる方々等々、がっちり横に繋がって、そして「面」としての魅力・街の魅力を醸し出している・・・そういう街をつくっていくことが出来るのではないかと、4年前、東武不動産に田中社長(当時副社長)が来られた際にこちらからそんな話をしたところ、「自分も同じことを思っていた。それはまさにこの街で、そういう街づくりが出来るのではないか?」という運びになりまして、今に至っております。
ポイントは、「がっちり横に繋がって」。以前、「賑わいって何?」について書いてみましたが、それが一つの答えかなあと思ってます。例えれば、「はしご××」というような街の飲食店の使い方、渡り歩き方。
先回、ことまちプロジェクトで色んなことを試して・・・とも言いました。
結局人は、人に会いに、そこに行く訳です。それは、お店の人だけではなく、常連さんだけでもなく、新規のお客さんだったり。
雰囲気って、大事です。客だから、お金払えば「=神様」だろって、そういう人は雰囲気壊しますよね。人と人が出会う訳ですから、いわゆるエチケットというのがあります。
この街の好きな所は?というアンケートで一番多かった答えは「下町であること」「挨拶し合うところ」。これからどうなる?という質問には「マンションだらけになるだろうね」不安げなそして絶望気味な反応。だから、ここではそういう「良い所」を前面に出して、不安な部分を何とか解決できないか?と考えております。・・・でもそれが設計事務所の仕事??

YESです。「設計」って、例えば「制度設計」という言葉もありますが、建物の設計だけじゃなくて、また都市計画という部分だけではなくて、それらが整ってからのそこへ集う行き交う人々の営み、生活がどのように繰り広げられていくか、という部分を、「設計」と言うと全くおこがましく聞こえますがそういうライフスタイルを「デザイン」、時空を超えてデザイン出来れば、またそういうプロジェクトをディレクション(望ましい方向へ引っ張っていく)していくことも立派な仕事だと考えております。

「コミュニティデザイン」という言葉がありますが、
⇒『コミュニティマネジメント つながりを生み出す場、プロセス、組織』という東京都市大学准教授坂倉杏介先生他が書かれた書籍(中央経済社)には次のように書かれてます

…「デザイン」の語源は、ラテン語の「デジナーレ」だと言われているが、その意味は「ある問題を解決するために思考、概念の組み立てを行い、それをさまざまな媒体に応じて表現すること」とされている。この意味に沿うとデザインには「問題解決」「設計」「見た目」という3つの要素が含まれている・・・が、広義の意味では社会の課題を解決することや、その計画や活動の中で行っていくプロセスなどを含める概念なのである…

なるほど。そういうことでもあるようです。

ただそのための、肝心の都市計画の部分も、しっかり仕事に入ってます。第6弾でデッキを繋げる「高台まちづくり」の話を致しましたが、他にも、駐車場や駐輪場の分散・集約と「ほこみち」実現をセットで考えてみることや、街全体を見渡した個別の建替計画における容積の移転だとか、行き先に考えてみたいことは山ほどあります。なにか、街のルールというと堅苦しく聞こえますが、全ては繰り返し述べてますような「賑わい」のために何か出来ないか?やはりしっかり、設計事務所の仕事なのであります。ご安心ください。

TO BE CONTINUED


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