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がん患者になって知ったこと

 10年以上がん患者(がんサバイバーという言い方もある)になって、再発やらで治療が続く身になって、初めて知ることは沢山あった。ただ今のところは「いままでの生活を見直し誰かの為になることを」なんて、キラキラした言葉は言いたくない。私は、がんを治療以外では生活の中心になんか置きたくない。それまでの生活も特に変えたくない、と最初に断っておく。

 まず、医療の進歩がとにかく速い。10年以上前の初発時の治療の知識はそのままでは役に立たないこともあるし、新しい治療法も次々と認可されている。一年前には聞いたこともない薬剤が保険適用になってることも多い。その昔「一日でも長生きすれば新しい薬が待っていると期待して行きよう」と思っていたことが、何割も実現していると感じている。

 治療を受ける前やその後の治療を受けるとき、間違った情報へアクセスしてしまうと、時間とお金の両方を無くす可能性が高い。違和感を覚えて急遽クリニックの予約を取り、受診して「がんの疑い濃厚」(確定診断は腫瘍の組織を病理検査しないと出来ない)で、組織検査を出来る設備のある(当然手術も対応している)病院へ紹介状と予約をを取ってもらった。

 ここまでの流れが速かったのと、あまり自分では調べていなかった(精神状態も悪かった)ことから、余計な事例を目にすることなく、照会先のがんセンター(今はがん拠点病院とも言う)へ移り、検査・手術・抗がん剤治療・放射線治療・内分泌療養を行うことになった。 

 医療情報は、かなり検索キーワードを駆使しないと治療に害のある健康食品や、よくわからない水など、患者を食い物にしようとする様々な物品を始め、気功、宗教など「近づいてはいけない事が沢山口を開けて待っている」ということを心の中に留めておいてほしい。

 特に周囲の人の「これが良く効く」みたいなおせっかいは、心を鬼にして断る覚悟が必要になることもある。私はごく少数の人にしか事情を話していなかったので、こちらのおせっかいも逃れることが出来たのは幸運だった。

がんサバイバー丸12年になるステージⅣの患者当事者。発がん時は今で言うところのAYA世代。就労しながら治療してます。