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2023/1/19 最近の思考

夜、電気を消して布団に入る。
大抵の場合すぐには寝つけず、眠りにつこうとしてじっ、と動かない肢体をよそに頭の中だけが活発にぐるぐる回り続ける。
その日あったこと、最近の思い出、過去の失敗、後悔、明日からのこと、人生の舵取り、あの頃への憧憬、郷愁、サウダージ、あの夏の日に見た大きな入道雲。
考えれば考えるほどどうしようもない不安と焦燥感に苛まれ眠りの淵からは遠のいていく。

そんな時はいつも一旦眠ることを諦めて、まぶたを開けて部屋の天井を見つめる。
普段は灯りを全て消して真っ暗にして寝ているので、天井どころか何も瞳には映らない。
目を開けても閉じても見えるものは何も変わらない。盲目の人が見ている世界はこんな感じなんだろうかと想像する。
それでもしばらく見ていると、窓や何処かから漏れて入ってきた光で、いつの間にか目が暗闇に慣れて見えてくる。

そこにあるのは、暗い、暗い闇。真っ黒だけど、絵の具を塗りたくって濁った黒ではなく、澄みきって透き通っていて、それ故にどこまでも暗い黒。闇そのものがそこにあって、奥行きと質量を伴って覆い被さってくる。真っ黒な空間そのものが目の前にあるのが感じられて、実感をもって自分はここにいると理解することが出来る。
そこにあるはずの天井はもう消えていて、無限遠の暗闇しかそこにはない。
まるで宇宙だな、といつも思う。
ぷかぷかふよふよと無重力に浮かんで、どこでもない宙をあてもなく漂っている。
誰か強い重力で僕を引っ張ってくれればいいのに。

星はひとつも見えないけれども、布団の中で微睡むだけで宇宙旅行ができるなんて安上がりだなぁ、なんて考えているうちにようやく夢の中に旅立てる。

そんないつもの事。

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