見出し画像

新テニ高校生達とデートする店をまとめていたら、平等院とデートする夢小説になっていた件


「おい貴様、今日は予定あるか?」


同級生の平等院くんに突然声をかけられて唖然と立ち尽くしていたら、
「行くところがある、ついてこい。」と言われ、そのまま歩くこと数十分。私は今、スターバックスコーヒー 新宿御苑店にいる。




スターバックスコーヒー 新宿御苑店
東京都新宿区内藤町11 新宿御苑




「……スタバ好きなの?」

「黙れ……」


会話はあっけなく終了し、どうして良いのかわからないまま、私はオーダーの列に並んでいる。


「桜…ストロベリー白玉フラペチーノ2つ……。」


平等院くんが意外過ぎるオーダーをして、何も言わずに席に着く。庭園に向かって作られた大きな窓、革張りのソファ。陽当たり抜群の席に、こんなに萎縮した気持ちで座る人間は、おそらく私くらいのものだろう。

平等院くんとは特別仲がいいわけでもないし、当然付き合ってなどいない。なぜか突然連れてこられた雰囲気良いスタバで、私達は激甘フラペチーノを飲み、日本庭園を眺めている。
こういうのを青天の霹靂っていうのかな。気まずい空気の中、突然平等院くんが静かに話し始めた。



「牧ノ藤学院時代、俺はよく異人館のスタバに妹と行っていた。
俺の妹は牧ノ藤のマドンナだから、当然美人で、当たり前のようにモテる。」

「はぁ……。」 

「さっき、スタバが好きかと聞いたな。」 

「はい。」

「時々懐かしくなって、こうしてスタバに来る。特別好きなわけではない。」

「そ、そうなんだ…。」




神戸の異人館にあるスタバといえば、スタバ好きなら誰しも知っている、美しい洋館を使った特殊な建物である。

あの雰囲気のある建物の中、山賊の親分みたいなヒゲ面の男が、学ランとか、いつものジャージ姿でフラペチーノを飲んでいるのを想像してみたが、どうにもこうにも解像度が低い。マイクラのバグくらい、存在が浮いているように感じてしまうのだ。

そういえば昔はヒゲもなくて、髪も短く、美少年だったような気がするのだが、今やすっかりこのルックスが馴染んでしまい、昔の顔をよく思い出せなかったりもする。

どうにもうまく噛み合わない会話をよそに、フラペチーノの桜の香りが鼻先を駆け抜けて、彼が話を切り出した。



「妹が、来月誕生日なんだ。贈り物をしたい。」



案外あっさりと謎が解けた。
そうか、贈り物の相談をしたかったのか。平等院くんも優しいところあるんだな。普通に良いお兄ちゃんなんじゃん。


「貴様はよく、アクセサリーがどうとか、そういう話をしているだろ。妹も多分、同じようなことを言っていた気がする。俺には全く分からんが。」

腕を組み、大きく胸を開いた座り方で、なんとも偉そうな態度で堂々と話す平等院は、お兄ちゃんというよりお父さんにイメージは近い。アクセサリーの話をしているが、側から見たらみかじめ料を請求されているようなイメージだろう。

バツの悪そうに、それでいてハッキリとした口調で
「何がいいか教えろ。」
と言う彼を見て、私は思わず笑いそうになってしまった。


「うん、わかった。無難でシンプル、それでいて虫除けにもなりそうなヤツがいいんだよね、きっと。」


平等院が眉毛をピクリと動かし、
「なんだ、話が早いじゃねぇか。」と答える。


妹が美人だから、変な虫が寄り付かないように心配するお兄ちゃん。なんて可愛い生き物だろう、と思った。


色々質問しながらアイテムを提案して、ものの5分で送るアイテムは決定した。

「これなら普段使いも出来るし、値段もまあまそんなに高くないし、長く使えると思うよ。」

そう言ってURLを送ろうとして、平等院くんのLINEを聞いたら

「結構だ。自分で検索する。」
と言って、
連絡先を交換することを拒まれてしまった。


彼がどんなアイコンにしてるのか、LINEのIDがなんなのか、IDが king_of_houou とかだったらどうしよう、などと心から気になったし、知りたいとも思ったが、
ケースも何もつけていない彼の古そうなiPhoneを見て、なんとなく満足してしまった。


変な飾りっけがなくて、無骨で真っ直ぐ。
乱暴なイメージだったけど、普通に妹思いなお兄さん。
そんな一面を知ることが出来たので、ちょっと優越感も出てきた。



「ありがとうな。支払いは結構だ。」

嘘みたいに優しい声で平等院くんはお礼を言うと、さっさと席を立つ。

「えっ、いいの?じゃぁ今度は私が奢るね。」

つい条件反射で「また今度」の約束を口にしてしまい、ハッとしていると、


「いいだろう、次は寺だ。寺のカフェがある。……そこにしよう。」



なんの抑揚もない、業務的なトーンで返事が返ってきたので、私は驚いて目を丸くした。


「俺はこのまま店へ行く。じゃぁな、散れ…」



なぜ突然呼び出され、解散の挨拶が「散れ」なんだこの人は……と疑問に思いながら、颯爽と帰っていく彼の背中を目で追った。

平等院くんって、adidasのスニーカー履いてるんだ…。意外と普通に庶民なのかな。やたら怖そうで威圧的だから気がつかなかったけど、靴、ボロボロだったな。たくさん練習してるんだもんな。


一歩一歩が大きくて、ズカズカと歩く彼の後ろ姿は、あっという間に見えなくなってしまった。せめて駅まで一緒に帰ればいいのに。まぁ、気まずかったし、いっか。
そんなことを考えながら一人で帰る帰り道、なんとなく平等院くんの揺れるブロンドヘアをふと思い出したら、顔がぶわっと熱くなった。


「べつに…、好きとかそう言うわけじゃないけど……今日は一体なんだったんだろう…。

ていうか平等院くん、桜ストロベリー白玉フラペチーノ飲みたかっただけなのかな?!ていうか、まず、根本的に、桜ストロベリー白玉フラペチーノって何?!?!なんでそれ飲むの?!?!ねぇ、平等院くんって、一体なにーーーーっ?!?!」



次回『平等院だってカフェラテを飲む!』、
そのあと、他のメンバーともデートに行こうと思います。

妄想は、毎日、誰としたって……
イイ!!!!!!!!!!!!!


このお金で一緒に焼肉行こ〜