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残すのに 整理できない 旅の記録

20年近く前、道南を旅した。祖母の付き添いで、叔父や叔母たちと共に、縁の場所を巡った。
親戚たちと久しぶりに会い、温かい訛りの観光タクシーで函館山からの夜景を愛でた。祖母は、開拓で入った土地に植えた白樺並木を見つめ、毎日見ていた羊蹄山をじっと眺めていた。
私は記録係だった。撮影したビデオや写真は、機会があるごとに披露してきたが、祖母がいなくなった今も整理できていない。当時はスマホもなく、場所やルートがはっきりしない。今、辛うじて見つけた場所をマップで確認すると、当時のままの所もあれば、面影がない町並みもある。一瞬だけ映る自分の若さが、どうにも照れくさいのに似ている。
何れ、映っているのがどこで、誰なのか、わかる人が誰もいなくなるかもしれない。それでも、旅する人と撮る人がいる限り、大切な記憶を残さずにいられない。時々見返しては、自分に付き添ってきた自分自身を見つめ直し、また新しい旅が始まる。

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