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希いをこめて。

阪神梅田本店の催事のための選書をしました。

□ 自分が好きになる暮らし展

阪神梅田本店 8F催事場
3月17日(水) - 23日(火) 10:00-20:00(最終日は16:00)

何回か経験があるんですが、百貨店の催事というのはほんとうにあわただしくて、閉店後の戦場のような搬入が終わったと思ったら、あっという間に会期が終わり搬出、しかもぼくの場合売り場にフルに立てるわけではないので、せっかく来ていただいたお客さんともちゃんとしたコミュニケーションができないですから、基本的にはお受けしないようにしていたのですが、担当のOさんからの熱いお誘い、しかも販売ではなく、この催事のハートを本で象徴的に伝えてほしいという、なんとも蠱惑的な(難しそうな)オファーをいただき、まんまと乗せられてしまいました。

いちばん最初に考えたのは、「自分が好きになる暮らし」というこのありきたりなマーケティング・タームをどうしたらもっと面白く表現できるか、もっと言えばマーケティングそのものから切り離せるかということだったんですが、考えてみると販売のためではない本のセレクトというのはずいぶん久しぶりのことで、しかもそれがデパートという大きな器の中ということなので、走り出すまでにずいぶん時間がかかってしまいました。

で、いつものようにああでもないこうでもないと、本棚の前をうろうろしながら考えて、Oさんに渡したのが以下のようなメッセージ。
じっさいの本がこの能書きどおりになっているかどうかは、見ていただいた方にご判断いただくしかないのですが、そこに書いているようにぼくなりの「希い」をこめて選んだ100冊の本を並べます。

どんな催しなのかはこちらをご覧ください。
https://www.hanshin-dept.jp/dept/e/kurashi/

きっとなにかいいものやいいことやいい人に出会えるはずです。

お時間があればぜひお立ち寄りください。

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Seeding for tomorrow

たとえば、100年前の世界戦争の終結がパリに芸術の花を開かせたように、いま世界が直面するこのパンデミックとの戦いは、グローバル化や格差の拡大といった資本社会の垢を押し流し、きっと新しい可能性の広がる美しい荒野を残してくれると信じたい。

地球規模での災厄は、いろんなものをラディカルに変えるチャンスだから。
自由に人が行き交うようになっても、そこにCOVID-19がいてもいなくても、けっしてもう元には戻れないのだから。

自分に合った身の丈の歩幅で歩くこと、自然に寄り添いながら暮らすこと。

グルメな食べ歩きじゃなく、地産地消の、足るを知るシンプルな生活。
これまでの習慣にとらわれない、自由なワークスタイル。

こころとからだがひとつになるように。

Seeding = 種を蒔くこと。

その種が、あなたの土壌に合えば、それはやがて芽をだします。
芽がでたら、しっかりと水をやってください。
毎日うまく水をやることができれば、やがて花が咲きます。

きれいな花が咲けば、あなた自身が発信しなくても、それを見たあなたのまわり人たちが、あそこにきれいな花が咲いていたよと、つぶやいたり、写真に撮ったりしてくれるはず。

そんな風に、「善いこと」がゆるやかににつながり、ひろがっていけばいいなあと思うのです。

日々の暮らしの中で、自分らしく生きるための糧になるような。
生活していくことと大地を守ることが、イコールになるような。
すぐに「役に立つ」ことではなく、新しい意識を生む「種」の手がかりとなるような。

そんな希いをこめて本を選びました。
本にできること、そして本だけじゃできないことを考えながら。

BOOKS+コトバノイエ 加藤博久


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