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5-1.続・いまさらきけない方程式(基本事項)

初回は、2次以上の方程式を解くための準備をします。
以前にも紹介した

代数学の基本定理 n次代数方程式の根はちょうどn個ある。

によって、2次方程式の根は2個で、3次方程式の根は3個あります。後ほどきちんと触れますが、「2重根」や「3重根」という概念もあります。

次に挙げる1次方程式は暗算で解けるようにしてください。無理なようであれば、書いて解いても構いません。ただ、今後は結果だけを書きます。

例.次の1次方程式を解いてください。
(1) x+3=0  (2) x-5=0  (3) 2x+1=0  (4) 3x-4=0

解答例 (1), (2) は定数項を移項すれば終わりです。
(1) x=-3, (2) x=5.

(3), (4) は定数項を移項して、xの係数で割れば終わりです。
(3) x=-1/2, (4) x=4/3. ■

練習.次の1次方程式を解いてください。
(1) x+7=0  (2) 3x-5=0  (3) 2x+5=0  (4) 4x-2=0


答え(1) x=-7, (2) x=5/3, (3) x=-5/2, (4) x=1/2. ■


次の質問に答えられますか。
「多項式を因数分解する」とは、何をすることでしょうか。


これに答えられたら、数学を学んでいると言えます。計算することはできても、何をしているか答えられない人は少なくないのです。答えを出すことに集中し過ぎてしまい、忘れてしまうようです。質問の答えは、掛け算の形(積)で表現することです。詳しくは、4-8.いまさらきけない多項式(因数分解はじめの一歩)をご覧ください。


最後に、この問題が解けますか。解けなくても気にしないでください。理由は解説の次に書きます。
問題 次の方程式を満たす未知数 x, y を求めなさい。
(1) xy=0                                          (2) 5xy=0


答え(1), (2) ともに、x=0 または y=0 です.
解説 (1) xy=0 は、x・y=0.したがって、掛けて0になるには、x か y のどちらかが0であればいいので、x=0 または y=0 となります。
(2) も 5・x・y=0 ということなので、x か y のどちらかが0であればいいのです。■

こう説明しましたが、納得できましたか。そうでない人には、次のようないい方をしたら、納得してくれるかもしれません。

「0でない2つの数を掛けて0になることはない。だから、掛けて0になるには、少なくとも一方は0でなければならない」(※1)

どうでしょうか。「いや、納得できない」ですか。もしそうであれば、それは正しく、その人が代数学を学んだら、「数学ってたのしい」と感じると思います。

なぜなら、きちんとした説明を一度もしていないのです。0の掛け算は0になることは、それらしい説明をしていると思いますが、それは直観に頼ったごまかしなのです。私ではなく、教科書がそうしているのです。説明するには、「マイナスの足し算」や「マイナスの掛け算」をきちんと理解するのと同じように、代数学の「環(カン)」という知識が必要になるからです。数学を選択した大学の2・3年生が学ぶものなので、いまの段階ではきちんと説明することができません。ブログ『理一の数学雑談』で書くとしても、まだまだ先になります。まだ「群」の紹介しかできていないからです。

ということなので、問題の解答を認めてください。つまり、「掛けて0になるには0の掛け算になっていて、その場合しかない」を認めるのです。▢

※1 これは環論の「整域」というものです。整数はそのように組み立てられたと言った方がいいかもしれません。
詳しいことは
笠原 章郎 著『自然数から実数まで』サイエンス社 (84ページの補題2.7)
に書かれています。理解するには、別のページも読むことになります。


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