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1-9.いまさらきけない整数(プラス・マイナス)の掛け算(前)

私事ですが、本日から本格に始動です。一緒に、数学の世界をたのしみましょう。こちらnoteの更新は、月曜日から土曜日(日曜日休み)の予定です。


※記事を書いていたらかなり長くなってしまったので、前編・後編に分けました。

整数(マイナス)の掛け算をきちんと理解するには、代数学で「環」を学ぶ必要があります。環を学びはじめると、直ぐに (-)×(-)=(+) の話が出てきます。
いまからする話は、集合論を用いて整備される前、人々が考えてきたことだと思います。現代の代数学を知らずに、整数(マイナス)の足し算、引き算、掛け算の計算方法を導き出したのは、さぞ大変だったことと思います。そう考えると、中学1年生の段階では、だいたいの感覚がつかめれば十分だと思います。計算の習得には、割り切りも必要です(※1)。

ここから本題:マイナスの掛け算を考えるのだから、掛け算がどういうときに使われたかを思い出し、それを援用することにします。
さて、掛け算はどういうときに使いましたか。

例1.1人7杯ずつラーメンを食べるとする。4人だと全部で何杯食べることになるか。
例2.ガソリン1ℓで20km走れる自動車があるとする。40ℓのガソリンだと
何km走ることができるか。
例3.直径が3mある大木の切り口の面積は、どれくらいの広さがあるか。ただし、切り口は真円であると仮定する。
例4.税込み2万円もするスニーカーが30%引きで売られていた。いくらで購入することができるか。

というのが直ぐに思い浮かびます。でも、これらではマイナスの掛け算を説明することが、私には思いつきません。
①杯数や人数 ②ガソリンの量や走行距離 ③長さ ④金額、値引き などにはどのようにマイナスを当てはめたらいいのでしょうか。


そこで次のような状況を考えました:
東西に長い一直線の平坦な道路上を1分毎(ごと)に東へ50m移動できる亀型ロボットがあるとします。今から▢分後にはどの地点にいるかを考えると、マイナスも入れて考えることができます。

ここで、東向きをプラスとし、5分後をプラス5分と約束すれば、西向きはマイナスで、8分前はマイナス8分後となります。
※このことを踏まえて、いまさらきけない負の整数(マイナスの整数)の話
を書きました。

では次を考えてみてください。
例5.10分後にはどの地点にいますか。
例6.5分前にはどの地点にいましたか。
例7.西向きに移動させたとき、4分後にはどの地点にいますか。
例8.西向きに移動させたとき、3分前にはどの地点にいましたか。

次回、この解説をしながら、マイナスの掛け算規則を自然に導入します。

ここに挙げた例が、速さに関するので拒否反応を起こしたかも知れません。中学のときの私がそうでした。でも、よーく考えてみてください。
「1個100円の肉まんを5個買ったらいくらですか」
と同じ考え方で解けます。難しいと思ってしまうのには、いろいろな原因が考えられますが、よくあるのは「み・は・じ」公式として覚え、理解していないというものです。数学を得意にしている人の多くは、公式ということを意識しないで覚えていると思います。▢

解説動画です。

※1 数学の学習方法について書いたものがありますので、こちらも覗いてみてください:理一の数学雑談(ブログ 無料)

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