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2-4.いまさらきけない『文字式の計算②』

今回は、文字式の計算練習をします。その前に、数学用語「多項式、項、同類項」について説明します。もしこの言葉が覚えられなくても、これから何度も使っていくと思うので、自然と覚えられます。

数式というと、あらゆるこれまで登場した式がそれに当てはまります。多項式(タコウシキ)は、積だけで成り立っている式が「+」で結ばれた式のことです。
極端な形で言えば、3abcxyz+8abx+10は多項式です。2/x+3a+7は多項式ではありません。2/xは積(掛け算)でなく、商(割り算)の式だからです。でも、2/xは数式で、特に「分数式」と言われます。この式を扱うのは、高校数学Ⅰからです。中1数学でも出てきますが、「反比例の式」としてです。尚、数は分数でも小数でも他の数(複素数)でも構いません。

多項式はx+2y-3, 5xy-6x+8y+1 のような形をしています。ここで一つ注意をしておきます。多項式は「積だけで成り立っている式が『+』で結ばれた式のことです」といいました。気になりませんか。『-』が入っていますよね。-3, -6x のように。これは、本来 x+2y+(-3), 5xy+(-6)x+8y+1 と書くのですが、+(-3), +(-6)x を単に -3, -6x と書くことにすると約束したのです。また、x や 1は1つの積と考えいます。

多項式がどういうのか掴めたと思うので、次に「項(コウ)」について説明します。
x+2y-3 は x, 2y, -3 を「+」で結んだ式でした。このときの x, 2y, -3 をといいます。これで、5xy-6x+8y+1 の項もわかると思います。5xy, -6x, 8y, 1 が項です。

次に「同類項(ドウルイコウ)」ですが、「同類」は同じ仲間のことですから、何を仲間と見るかが判ればいいですね。
分かり易い例①:3x, 7x, 2x, -4x, x などは同類項です。
分かり易い例②:3a, 7a, 2a, -4a, a も同類項です。
分かり易い例③:3xy, 7xy, 2xy, -4xy, xy も同類項です。
分かり易い例④:3, 7, 2, -4, 1も同類項です。

感覚的に言えば、文字の部分が全く同じなら、仲間と考えます。④は数だけですが数だけなので仲間と考えます。現段階ではこれで十分です。

同類項の何がうれしいかというと、もう既に説明済みなのですが、同類項は分配律を使って簡単な形にできるという点です。では、その計算練習をしましょう。


例題 次の式を簡単にしてください。
① 3(a+4)-5(2a-3)
この式は、3・(a+4)+(-5)・(2a+(-3)) という式なので、分配律 m(a+b)=ma+mb
を利用して計算していきます。
3(a+4)=3・(a+4)=3・a+3・4=3a+12, 
-5(2a-3)=-5・(2a+(-3))=-5・2a+(-5)・(-3)=-10a+15.
だから、
3(a+4)-5(2a-3)
 ⇓
(3a+12)+((-10)a+15)
 ⇓ 足し算だけの式なので、どこからでも計算でき、交換もできます
3a+(-10)a+12+15
 ⇓ 分配律を使って、同類項の計算をします
(3+(-10))a+(12+15)
 ⇓ 
(-7)a+27
 ⇓
-7a+27
さて、計算はここまでで終りですが、理由が説明できますか。


理由は、-7aと 27 は同類項ではないから、分配律を使って一つにまとめることができません。この理由までいえて、計算ができたことになります。

(3a+12)+((-10)a+15) は「足し算だけの式なので、どこからでも計算でき、交換もできます」をきちんと言っておくと、結合律と交換律というものです。
結合律:(a+b)+c=a+(b+c) どこから計算しても良いという式なので、括弧
    は省略されます。
交換律:a+b=b+a 入れ替え自由という式です。
多項式の括弧を外すと上の2つが使えて、項の入れ替えが自由にできます。
これは 1-15.プラス・マイナスの計算で言い残したこと(前)でも話ました。

実際には、ふつうこのように書きます:
3(a+4)-5(2a-3)=3a+12-10a+15=-7a+27.
※ ①が理解できれば、後はすべて同じ要領です。

② 4(xy+3)+3(2xy+5)
分配律を使って括弧を外します:
4(xy+3)=4・(xy+3)=4・xy+4・3=4xy+12, 
3(2xy+5)=3・(2xy+5)=3・2xy+3・5=6xy+15.
したがって、次のようになります:
4(xy+3)+3(2xy+5)=4xy+12+6xy+15=(4+6)xy+(12+15)=10xy+27.

③2a(b+4)+5a(8b-3)
分配律を使って括弧を外します:
2a(b+4)=2a・(b+4)=2a・b+2a・4=2ab+8a, 
5a(8b-3)=5a・(8b+(-3))=5a・8b+5a・(-3)=40ab+(-15)a=40ab-15a.
したがって、
2a(b+4)+5a(8b-3)=2ab+8a+40ab-15a=(2+40)ab+(8-15)a=42ab-7a.

要点:分配律を使うときにも、同類項をまとめるときにも、常に「項」を意識して計算することです。

多項式の「項」がいかに大切か分かってもらえたでしょうか。
多分、「用語の部分は簡単だ」と思ったかもしれませんが、私が時間をかけて説明したのはとても大切なところだからです。だから、例題の①も理解できるよう見直してくださいね。▢

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