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3-1.いまさらきけない方程式(等式、方程式、恒等式、公式)

(2021.2.20 加筆《リンクを設定》しました)
方程式(ホウテイシキ)はこういう形のものです:

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①~④は代数方程式、⑤は三角方程式と呼ばれます。さらに、①は1次方程式、②は2次方程式、③は3次方程式、④は連立方程式と呼ばれます。
大きな特徴は、文字「x(エックス)」が使われていることと、等号「=」で結ばれていることです。文字は「x」でなく他の文字のときもあります。xは日常でも使われていますね。ミスターX、容疑者Xの献身、レントゲンが発見したX線などです。未知なものにXを使います。これは方程式が由来で、数学ではそのxのことを未知数と呼びます。

ところで、等号「=」の意味は知っていますか。多くの人はこの記号を「イコール」と読むと思いますが、正にそのことです。
equal(イークゥォル)は「等しい」を意味する英語で、「イ」にストレスがあります。でもほとんどの小学生は「答え」と認識しています。私もそうでした。「等しい」と習いはしますが、「答え」で覚えてしまうものです。算数ではそういう意味でしか使われないから無理もありませんね。等しくなくても「=」で結んでますし。えっ、気づきませんでしたか。「47÷5=9あまり2」と表記しているではありませんか。

等号で結ばれている式(等式)は、他に、2+3=5とか下の画像

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のようなものがあります。
等式2+3=5や⑥,⑦は恒等式(コウトウシキ)と呼ばれ、方程式と区別されています。
⑧は円の面積を求める「公式」、⑨はベクトルの内積の「定義式」、
⑩は理科(物理)で学ぶオームの法則と呼ばれる「関係式」です。でも⑩は方程式と呼ばれることもあるようです。「台形の面積公式」や「速さの定義式」、そして「てこの原理」の方が例としては良かったかもしれません。

薄々感じていましたが、今回の話を書くにあたり確認したら、英語では等式も方程式も「equation」です。恒等式は「identity」と呼ばれます。(※1)
日本語には、「方程」が西洋数学を輸入する前からあったのが要因と思われます。中国から渡来してきた『九章算術』に書かれていたようです。未知数を求める術が書かれていたのではと推測しています。

方程式と恒等式を合わせて「等式」と呼び、方程式は「ある特定の値に対してのみ等号が成立する等式」で、恒等式は「任意の値に対して等号が成り立つ等式」とされています。
数学の世界を冒険し続けると、この定義には問題があることが見えてきますが、そのときに考えればいいと思います。特に問題は起こりません。

代数方程式①~③を満たす値を「根(コン)」または「解(カイ)」と呼びます。④、⑤を満たす値は「解」と呼び、「根」とは言いません。
「根」と呼ばれる意味を説明するのは、因数定理を紹介した後になると思います。勘が働けば、二次方程式を学んでいるときに気づくかもしれません。
そういう人には数学研究者という道があります。

①の根は1、②の根は3とー5、③の根は-1と-1と2です。
ちなみに、①の解は1、②の解は3とー5、③の解は-1と2です。
①~③に値を当てはめて確認してみてください。等号が成り立っているはずです(※1)。さらに、①~③に思い浮かんだ数値を当てはめて、等号が成り立たないことまで確かめたら完璧です。

⑥、⑦に関しては、思い浮かべた数値を当てはめてみてください。必ず、成り立っているはずです。2,3回試してみたら「恒等式」らしいと思えると思います。「恒」は訓読みで「つね」です。「常に(つねに)」等しい式だから「恒等式」と名付けたのだと思います。
(方程式を再掲)

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まずは、方程式①を解くことがしばらくの目標となります。この話が理解できれば、④は解けるようになります。
もう少し扱いやすい連立方程式:2x+y=5, x-y=1 ― ④であれば、理屈だけで解けるようになります。▢

解説動画←クリックすれば見られます

※1 参考資料:小松勇作 編『数学 英和・和英辞典』(共立出版)

※「根」と「解」については 理一の数学雑談 「「解」と「根」を考えていたら、頭が頭痛で痛くなった話」もご覧ください。


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