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3-4.いまさらきけない方程式(1次方程式の解法①移項)

今回の主役、いや、1次方程式の主役である「移項」を紹介します。理屈は簡単です。等式の性質②(または①)から得られます(※1等式の性質)。

x+a=b           x-a=b
 ⇓ 両辺からaを引くと      ⇓ 両辺にaを足すと
(x+a)-a=b-a      (x-a)+a=b+a
 ⇓ 整理して           ⇓ 整理して
x=b-a             x=b+a

最初の式と最後の結果を見比べて気づきましたか。
左辺にあったaの符号が「+」→「-」;「-」→「+」と変わりました。
項aを右辺に移動させたら符号が反対になる。これが「移項」というものです。もっと、一般的な説明をしておきます。大事なものは二重三重に。

A+B=C-D
   ⇓ 両辺に(-B)を足すと(等式の性質①)
(A+B)+(-B)=(C-D)+(-B)
   ⇓ 左辺を整理して
A=C-D-B
   ⇓ 両辺にDを足すと(等式の性質①)
A+D=(C-D-B)+D
   ⇓ 右辺を整理して
A+D=C-B

左辺にあった項Bを右辺に移動させたら-Bに、右辺にあった項-Dを左辺に移動させたらDに変わりました。確かに、符号が逆になっていますね。この性質を使うと一次方程式を解くのが簡単になります。いちいち性質①、②を使わず「移項」だけで済むからです。

この移項を使うと、すべての一次方程式は ax+b=0(ただし、a≠0、bは定数)の形にできます(※2)。この形を一次方程式と言います。今後、問題に「一次方程式を解け」と書いてあれば、それは、移項すれば ax+b=0 の形になるからそう言っているのです。ということは、ax+b=0 が解ければすべての一次方程式が解けるということが言えます。

ax+b=0(a≠0)
⇓ bを移項して
ax=-b
⇓ a≠0なので、両辺をaで割る
ax/a=-b/a

x=-b/a (← 根の公式)

根の公式を得られましたが、あまり嬉しくありません。理由は、ax+b=0 の形にするまでが大変だからです。特に、中学生は問題のための問題を解くから大変です。数学が嫌われてしまう理由の一つです。

「ax=-b ⇒ x=-b/a」は頻繁に使うので、自然と覚えられると思います。理屈は上に示した通りです。どのように変形するかの旨は、しばらくは述べるようにします。

例1.方程式 3x+4=13 を解いてみます。

「解く」ということは、未知数xの正体を暴くということですから、結果的に「x=△」とできればいいのです。根の公式を導いたとき、ax+b=0 を
ax=-b に変形して a で割っているので、「=0」の形に直すことなくax=-b 
の形に変形できればいいのです。そこで、

方法1)4を右辺に移項します。すると、
3x=13-4
となり、右辺を計算すると、
3x=9
となります。よって、両辺を3で割ると
3x/3=9/3
となるので、約分して
x=3を得ます。
逆に、これを左辺3x+4のxに当てはめて計算すると、
3・3+4=9+4=13
となり、右辺と一致したので、x=3は方程式の根です。■

方法2) 13を左辺に移項すると、
3x+4-13=0
となり、左辺を整理すると
3x-9=0
となります。これを根の公式に代入すると、(このとき、a=3,b=-9)
x=-(-9/3) =3.
逆に、これを左辺3x+4のxに当てはめて計算すると、
3・3+4=9+4=13
となり、右辺と一致したので、x=3は方程式の根です。■

これらは一つの解答例です(※3)。ここまで書けるようになると、数学するのもたのしいと思います。教科書や参考書もここまで書きません。省略して書くのがいいと思っているようです(※4)。▢

解説動画←クリックすれば見られます

※1 等式の性質:a=b(aとbが等しい)なら、次の①~④が成り立ち、かつ、その逆も成り立つ。
①同じ数を足しても等しい:a+c=b+c
②同じ数を引いても等しい:a-c=b-c
③同じ数を掛けても等しい:ac=bc 
④同じ数で割っても等しい:a/c=b/c(ただし、c≠0)

※2 a≠0となっている理由:もしもa=0だったら、左辺が1次式でなくなるから、1次方程式ではありません。

※3 解答例の書き方:基本は、「何をするかを書く」「文章と主役の式とは行を分けて書く」の二つです。第三者に伝えるためには、自分がどのようにして解ったかを伝える必要があるので、「何をするかを書く」ことは必然で、第三者に見やすくするためには「文章と主役の式とを分けて書く」のも自然だと思います。
尚、式も文章です。詳しくは別の機会で。

※4 動画では省略して書いています。教科書や参考書くらいの解答だと思います。

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