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初読み松宮宏


パン好きなのでパンの題名の本は
つい手に取ってしまい積読本でした

松宮宏
まぼろしのパン屋

*️⃣概要

朝から妻に小言を言われ満員電車の
席とり合戦に力を使い果たす高橋は
どこにでもいるサラリーマン
しかし会社の開発事業が頓挫して
責任者が左遷され、ところてん式に
出世
何が議題かもわからない会議に出席する日々が始まった
そんなある日、見知らぬ老女にパンをもらったことから人生が動き出し……
人生逆転劇が今、始まる!
他、神戸の焼肉、姫路おでんなど
食べ物をめぐる、ちょっと不思議な
物語三篇

*️⃣感想

3作品からなる短編集
一番面白かったのは表題作の
「まぼろしのパン屋」
ある電鉄会社勤務の会社員が主人公
会社の不祥事に伴ってあれよ、あれよと出世していく
主人公の妻はパン作りが趣味
ある日、休日出勤のため電車に
乗っていた主人公の前におばあさんが
現れる
このおばあさんから貰った
『しあわせパン』と印刷された紙袋の
中に入ってたパンを食べたところ
ものすごく美味しかった
主人公の勤める会社の地上げによって
おばあさんのパン屋が無くなろうと
していた
幽霊もこんな形で出てきてくれたら
すてきだなぁ

「ホルモンと薔薇」
花隈病院の大腸外科医である
村岡久雄は仕事も休日も腸に
まみれている
普段は日本で三本の指に入ると言われる大腸外科医として、その美しさに感動し、また仕事終わりや休日も何かと腸が絡んでくるのだ
仕事終わりで「吉田酒店」で飲んでいると、父の久二雄がやってきた
今日は焼肉の会だ
久二雄が主催する焼肉パーティーには
プロの焼肉店さえ店を休んでやってくるほどの人気だ
久雄もその準備のため牛の解体を
手伝った
そこに加奈がやってくる
ひったくりに遭ったのだという
皆で憤るが、どうなるものでもない
とりあえず皆で話を聞き慰めていたが、その後予想もしなかった展開となり…

「こころの帰る場所」
華井中の荒井と
言えば知らぬものはいないヤンキー
だった荒井は、はみ出した生き方をしていたが性根が腐っていたわけではない
人生の都度都度で生き方を改めようと
思ったことはあった
しかし一度貼られたレッテルはなかなか剥がすことができない
真面目になろうとしたり
でもなりきれなかったりというユラユラした人生を続けていた
一念発起してJRの試験を受け車掌として真面目に働き始めるが昔の仲間との縁はそうそう切れるものではなく…

  どの話にも食べ物が絡んでくるが
どの話も働く者たちの話で
働く者の悲哀や哀愁みたいなものを
感じる作品

*️⃣おまけ

ジャケ買いしたわりに

パンの装丁の本は1冊しかなかったわ
テカッて見えにくいけど
原田ひ香『サンドの女』です

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