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聖子ちゃんカット

先日、
何かのテレビ番組で、流行した髪型を年代別に紹介している特集を見た。

聖子ちゃんカット

言わずと知れたアイドル黄金期の80年代、
一世を風靡したあの伝説の髪型である。

ねこもしゃくしも、、
ましてや、続々とデビューするアイドル達も、
こぞって、聖子ちゃんじゃないのに
『聖子ちゃんカット』なのである。

かく言う私も憧れたひとり。
当時、中学生だった私には、パーマ禁止という
ベルリンの壁のような校則が立ちはだかり、
ましてや、そんなお金もない。
とうてい、実現するのがすこぶる難しい状況に陥ってしまう。

聖子ちゃんカットにしたい!
せめて、聖子ちゃんカット風にしたい!
中学生のせつない乙女心に火をがついた。

パーマがダメなら、『くるくるドライヤー』で
巻き巻きすれば、なんとか『カット風』に
できるかもしれない。
そんな野望を秘め、親に購入交渉を挑んだ。

結果は撃沈。

それでも諦めきれず、
毎朝、ヘアブラシとドライヤーで挑み続けた。

しかし、大事な事を私は忘れていた。
それは、、

超剛毛という現実。

皮膚をも突き破る鋭さ。
髪を切った後は、必ずといっていいほど、
肩や背中に突き刺さっていた。
巻いても巻いても、この形状記憶剛毛は、
すぐ真っ直ぐに戻ってしまう。

私の聖子ちゃんカットへの野望は、
あっけなく打ち砕かれた。

テレビには、当時の映像が、聖子ちゃんの曲とともに流れていた。
あの特集を見て、流行りに翻弄された
いつかの自分を思い出していた。

しかし、、
テレビに映し出された女の子の髪型は、
『聖子ちゃんカット』ではなく、
『明菜ちゃんカット』だった事に、
モヤモヤしながら、洗濯物を干す自分がいた。


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