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いかに「想定外」な災害に対処すべきか

台風19号。想定外の事態とはこのような事態を言うのかもしれない。台風は過ぎ去ったが、勝負は台風通過の数時間ではなく、むしろその後の被害復旧の段階にある。

もう数日もすると、被害の全容が明らかになり、各種の復旧工事が計画され、復興段階へと移行する。

しかし、今はまだ全容がわからない言わば「霧」の中にいるに近い。そして、このように全体像がわからない時、次にどのような行動をドライブすべきかわからない状況ほど不安なことはない。

実は、このような事態に対応するために作り上げられているプロトコルが存在する。それは、「指揮運用綱要」「Joint Planning Process」と呼ばれるもので、自衛隊・米軍などの軍事組織のリーダーが、部下を指揮したり部隊を運用する際に活用するものだ。

不透明な状況で主導的に事態をドライブするためには、次の5段階のプロセスを踏む。

1 状況判断、2 決心、3 計画、4 命令、5 監督指導

今のように、事態が不透明な段階では、まず「状況判断」から開始する。

この「状況判断」は、何か重大なポイントで意思決定を行う前に実施するもの。今、まさに危機の真っ只中にある時は、ただ闇雲に情報を収集して並べて頭でこねくり回すだけではダメだ。場当たり的な対応になる。

リーダーを作り、リーダーのやりたい方向性や目標を明確に示す。そして、スタッフはリーダーと共に継続して情報を評価し、今後の自分たちの行動オプションを提示する。その良し悪しを決定する要素を注意深く考え、行動オプションに順位をつける。リーダーは、自身の洞察力をフル活用して選択=決定するという流れだ。

重要なのは、克服すべき(倒すべき)目標に打ち勝つまで常に「状況判断」を続けることだ。台風の被害が目に見えない夜中だったり、被害が広すぎて全体像がわからない今だからこそ、考え続けることが最初の一歩となる。気力と体力の勝負でもある。

これから、今まで遭遇したことのない被害状況を目にするかもしれない。会社や知人の間でも、大変な事態に遭遇するだろう。その時は、「状況判断」を継続することが重要。最初は新たな事態にビックリするが、それを自分のこととして吸収し続ける。そして、情報を整理し続けて行動オプションを案出し、評価結果をリーダーに提示して決定してもらう。

想定外の被害が発生していたら、考えるのを止めてはいけない。真っ白になりそうな頭とバクバクと音を立てる心臓に抗ってほしい。答えは必ずある。それが正しいか、正しくないかは、考え抜かれた選択肢を決定した後に分かってくる。そして、再びその結果を取り入れ、また考え続けてほしい。

参考:マガジン「想定外を克服する『究極の状況判断力』」

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