見出し画像

こどもに還る

実祖母が特老施設に入所して半月になる。
あんなにたくさん可愛がってもらったのに、まだ会いに行けていない。

実祖母は大正最後の年の生まれで、おそらく若い世代からしてみれば、「えっ昭和の前!?」という感覚なのだと思う。
数年前までは頭もしっかりしていたが、最近は私と孫だと認識するにも時間がかかるようになっていて、そういう祖母と接するのは正直しんどさがあった。
そんな中での、体調不良による入院。
お見舞いは10分のみという短さ。
お見舞いの中では、祖母にとって私は孫ではなく娘(私の叔母)だった。
一緒に行った叔母も、複雑な表情をしていた。
体調が回復した祖母は、実家から車で20分程の施設にそのまま入所した。

韓国でも、少子高齢化が進んでいるらしい。
3月まで幼児保育施設だったところが、4月から高齢者施設に転用して運営している、というニュースをテレビで見た。
おもちゃもそのまま使っているらしい。

初めて社会人となった年、雇用先の研修の一環で、特別養護老人ホームで1日研修を行った記憶がある。
入所者と一緒に遊んだり、話を聞いたりする内容だった。
10数人いた私の同期は、私も含め、赤の他人の高齢者のお世話をしたことがなく、だから自主的に動けるはずもなく、初めての経験にただ戸惑うばかりだった。
(後から、老人ホームの担当から「今年の新採はどれも使えなかった」と言われたらしい。)

そんな中、覚えているのは、まるで小学校のように、壁に習字が貼ってあったり、入所者が座って風船遊びをしていたりしたこと。
「歳を取ると、こんな子供のするようなことをするのか」と衝撃だった。

自分自身も心身の老いを徐々に感じるようになり、思うのは、「人間は老いるとこどもに還るのだろうか」ということ。
一段一段、成長の階段を上ってきたつもりだけれど、いつかどこかで降りて行くのだろうか。
もう、降り始めているのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?