失恋しました、煙草吸います

はじめてnoteを使う。
読む専だったけどどうしても誰かに聞いてほしいからここで書こうと思う。

タイトル通り、「失恋しました、煙草吸います」だ。

本当は紙煙草が良かったけれど、デビュー戦なのでアイコスで手打ちとしてほしい。

それじゃあ私のつまらない失恋話をするから、暇つぶしに聞いてくれ。

出会いは3年前だった。年下の男の子だった。
その子とは出会って間もない頃から、いわばセフレ状態になる。

付き合ってもない、付き合えるステージにもない。
私のことを好きじゃないことなんか一緒にいる間ずっと分かっていた。
でも、一緒にいてくれるのが嬉しくて見てみぬふりをした。
その恋愛が先月見事に終わったわけだ。

先にヤッてしまったのは私が馬鹿だった。
先に身体を許したら付き合える可能性なんか無くなるのに。
大人の女がやることではない。
でも、好きだったから身体を許してしまった。
でもじゃない。でもって付けたとて大人の女がやることではない。

そして、そんな馬鹿な片思いを3年間続けている間に私は30歳になった。
信じられるか?この年齢になって学生みたいな恋愛の失敗をしている。
馬鹿な女だなと思って読んでくれたら嬉しい。

ついでに、こんな話は誰にも言えないから彼の好きなところを書かせてほしい。

優しいところが好きだった。
人に何か頼まれて断れないところが好きだった。
内心嫌でも、一度受けたらやり切るところが好きだった。
大きな手が好きだった。
細身で抱き締めた時の骨ばった身体が好きだった。
笑った顔が好きだった。
仕事場ではいつだって気を張っている姿が好きだった。
代わりに、私といると気を抜いてだらんとした態度になるのが好きだった。
だらしない所が好きだった。
私との関係をいつか終わらせなきゃと思っているくせに面倒なことを考えたくなくて有耶無耶にしているいい加減なところも好きだった。
年下の男の子にこんな重い感情を抱いてしまっているのに、私のこと邪険にできない狡いところも好きだった。
一緒にドライブをしているとき、アイコスを吸う横顔が好きだった。
その煙に包まれるのが好きだった。

さて、お察しいただけただろうか。
私はもう手に入らない彼と彼が吸うアイコスの煙の代わりに、自分で吸うことにした。

付き合っていないとはいえ3年間も一緒にいたんだ。
吸ってるフレーバーだって当然知ってる。

私達の関係を終わりにしようと二人で泣きながら話した次の日に、私はコンビニで初めてタバコを買った。

勿論吸い方も知らないからネットで調べた。
アイコス本体もコンビニで買えると知った。
何もかもわからないから「アイコスのミントと、それに適合する本体をお願いします」みたいなことを言ったと思う。
かくして私ははじめてのタバコ(アイコスだけど)を手に入れた。

身内に喫煙者はいない。
タバコなんて吸おうと思ったこともなかった。
タバコが百害あって一利なしなのも重々承知だ。
ここまでの人生で私はシーシャすら吸ったことがない。 
綺麗な肺を持っていたくせに、男が原因で吸い始めるのも馬鹿な女らしくてまあいいかと思えた。

ネットを見ながらたどたどしく電源をつけ、口に含んだ。
当然むせた。
マジで何が良いのか分からんな、と思った。
でも匂いも煙も私が大好きなものだった。
私は馬鹿だな、馬鹿だったな、そう思いながら涙が出てきて、それだけでも吸ったかいがあったと思う。

この関係を終わらせた理由はいたってシンプル。
彼に女の子を紹介するという話があったのだ。
そして彼はその女の子のことを直ぐに気に入ったのだ。
私と関係を続けながら新しい出会いへ打ち込むことが出来ない、と罪悪感に苛まれたらしい。
今更罪悪感も何も、と思ったがそれを察した私の方から終わりにするよう促した。

そんなに簡単に恋に落ちるのに、私にはいちどだって好きそうな素振りをしたことがなかったな。
改めて本当に何もなかったことを痛感して涙が出る。

最後の日、彼は私より泣いていた。
その涙って私のためじゃなくて自分の罪悪感、自己愛故なのでは?ということも分かっていたが、大丈夫だからと彼をなだめて笑顔で最後の日を終えた。 

ちなみに私は何も大丈夫ではない。
こっちのほうが大丈夫じゃないのに、お前は次の恋愛があるから絶対大丈夫なのに、何を思ってなのかそんなに泣かれたら大丈夫だよって言うしかないじゃないか。

ふざけるなよ。泣きたいのはこっちだよ。
そっちがそんなに泣いたら私は泣くことも責めることも出来ないじゃないか。
でも、そういう無自覚に自己愛が強くて狡いところも多分好きだった。

最後の日は沢山大丈夫だよと言った。
大丈夫だよと言いながら頭を撫でた。
次の恋愛がすぐそこに控えている彼を力一杯抱きしめた。
最後にハグしたとき多分初めて強く抱きしめ返してくれた。
強く抱きしめ返してくれた感触で、ああ、本当に最後なんだと思った。

それが3週間ほど前の話。
今これを書いているのは、その紹介された女の子と今日2人きりでご飯に行ってるらしいと聞いて眠れもしないからだ。
私はとことん馬鹿な女だ。

この3週間でアイコスにはだいぶ慣れた。
当然むせないし、出勤時と退勤時には欠かさず吸うようになってしまった。

吸い始めた日は「1日1本、1箱吸い終える頃には20日経って忘れられる」と願掛け程度に思っていたのだが、思ったよりもタバコが私を救ってくれてしまったせいで既に4箱目に突入している。

ああ、馬鹿だな。
なんの面白みもない。
付き合ってもないから「別れた」とすら言えない、誰にも言えなかった私と彼の関係の終わりの話。

読んでくれた人はいるのかな。
いなかったとしても吐き出せて良かった。

日に日に増えるタバコの本数のぶん、忘れられないとか馬鹿なこと言う回数が減りますように。

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