![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/130164321/rectangle_large_type_2_cd26c3208ec2aa139e2aaab36d17942b.png?width=800)
sus4コードとは
2024/02/08
指摘を受け一部内容を訂正(※)文章の一部を文意が通りやすいように修正。
2024/02/09
おまけ②に追記。おまけ③を追加。
2024/02/10
各譜例(図)に番号を付与。
以下本文。
sus4(サスフォー)コードというものがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1707296785337-jcmOsnSXW3.png?width=800)
このsusとは「suspend」の意です。「吊り上げる」と言う意味の英単語で「(一時的に)延期する、保留する、差し止める」という意味でも使われます。
sus4とは「(3度の音を)4度に吊り上げる/保留する」という意味のコードです。
![](https://assets.st-note.com/img/1707297619839-BvQFwv2AdY.png?width=800)
実際には上記とは逆の順序で使われ、吊り上げられた音(suspended4th)が浮遊感や緊張感を生み、それが安定感した響き(3度/3rd)に収まることで安心感や快感をもたらす、という造りになっています。
このように、sus4(suspendされた4度)は3度にリリースされるべきである(3度へ向かうベクトルを持っている)、というニュアンスが本来含まれています。
![](https://assets.st-note.com/img/1707298692246-6pN21c7HTe.png?width=800)
基本は以上になります。sus4がsuspended4thの略だという事と、本来的にはそれが3度に向かおうとする(解放されたがって聞こえる)響きと性質を持っている事が理解できれば(感じられれば)OKです。
以降は楽典的な要素も含んだ実際の使われ方になります。
まずジャズではドミナント7(ここではG7)にワンクッション入れる(咬ます)形としての使われ方が最も多いです。
![](https://assets.st-note.com/img/1707317749945-Fp0W0QNHaP.png?width=800)
ただし、sus4はトニック(I)コードに咬ますこともでき、また多いため、
「◯sus4=◯7sus4」ではない事を理解しておく事は重要です。
![](https://assets.st-note.com/img/1707319750932-2sEUSZ1HlU.png?width=800)
(Csus4の隠れた7度はMaj7(B音)なのでG7sus4とは性質が異なる)
また、sus4はIIm7などマイナーコードに咬まされる事も珍しくないですが、この場合上記の二つ程の解放感は得られず、またm7sus4というコードは理屈の上で成り立たない(Dm7の3度音をsuspendすればD7となり、コードスケール自体が変わってしまう、など)ので、楽典的には正しいsusコードの使い方ではないとされています。ただ実際にはDm7のスケール(Dorian他)でもD7sus4は作る事ができ、和製進行をsuspendする効果を感じる事もできるため、誤った使い方、とする必要はないと言えます。
![](https://assets.st-note.com/img/1707324107625-uI5ngCZTcc.png?width=800)
同じコード進行でも7thを省くことで以下のトリック的な使い方もできます。
![](https://assets.st-note.com/img/1707325358398-Iu8xwSKOwR.png?width=800)
R&Bやソウルなどでは以下のような非常に効果的な「◯7sus4→◯m7」
の組み合わせのサウンドがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1707325371864-vxR9rSdjif.png?width=800)
上記はマイナーコードとsusコードの組み合わせの一例でしたが、その中で◯7sus4(ドミナント7sus4)の性質が見えてきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1707326304948-mFPHiO8NlA.png?width=800)
G7sus4はドミナントコードに分類されますが、
サブドミナントコードの性質も持っていると考える事ができそうです。
![](https://assets.st-note.com/img/1707451299038-Jy9dKhLew1.png?width=800)
G7sus4のヴォイス(内声=コードを定義づける音。コードの3度と7度)はDm7と同じであり、
IIm7-V7-Iと同じ内声の動きをする、という意味でサブドミナント的である
(V7なので分類上はあくまでドミナント)、と訂正させていただきます。
更に機能和声(ハーモニー機能(Function)を司っているのは3度と7度)の理屈を踏まえると、G7sus4はF/Gとも機能として等しい事がわかります。
響き方は結構違いますが。
![](https://assets.st-note.com/img/1707328186625-Ii3L1gg5RI.png?width=800)
このように、◯7sus4(ドミナント7sus4)には様々なバリエーションがあると同時に、機能的には一つである事がわかります。
![](https://assets.st-note.com/img/1707328588548-eTJ1Edkc1O.png?width=800)
そしてその和製機能(Function)とはサブドミナントです(※こちらも先の訂正箇所同様、あくまでドミナントコードの分類であると訂正致します)。
このsus4コードの理解で、ボイシングやコード表記の違和感が解消される事もあるのではと思います。
伝えたい事は以上です。
以下はおまけ(具体例と考察)です。
おまけ①
G7sus4からG7を介さずにCmaj7に解決する例。
sus4の音(C音)が3度(B音)に解放された響きとCmaj7への解決が合体している。より洗練された響きで、近年ではこちらが最早主流と言えるかも知れません。
![](https://assets.st-note.com/img/1707330661351-4zaNRsmqcm.png?width=800)
おまけ② sus2コードについて
原則的、楽典的にはsuspendされた響きをもたらすのは4のみです(和音の響きと機能を決定づける役割を持つのはコードの3度と7度(Voice)で、7はsuspendすると1またはmaj7になってしまい、7がmaj7になるとで調性自体が変わってしまう事になるので、susになれるのは3度のみという事になります。
現代ポピュラー音楽で今やすっかり定着しているsus2(ド・レ・ソ)は言うなれば俗語で、正確を期した言い方をすればAdd9Omit3とでも言うべきものです。
が、3度を弾かずにコードタイプをぼかさす事で緊張感や浮遊感を得るという意味ではsus4と類似した効果を持つと言え、またC add9,omit3の構成音はGsus4に等しいため、susコード(この場合Csus2)と呼ぶ事に実用上の便利さは感じます。
とはいえ「レ」が「ド」をsuspendしているとは言えないため(同時に弾いちゃってますし)不正確な呼称である事は述べておきたいと思います。
今後もしかしたらsus(pended)2ではなくhanged3やDropped3のような言葉がこれから生れるかも知れません。。?
![](https://assets.st-note.com/img/1707332529648-R2kMmzv5PA.png?width=800)
というか、4度→3度の間に2度を咬ます形であればこれはかなり古典的手法なので
クラシックの用語で何か名称がついているかも知れません。
![](https://assets.st-note.com/img/1707453590724-h4tkv2SN0A.png?width=800)
suspensionというよりextension?
おまけ③
極端に引き延ばす使い方の例です。日本のシティポップでも多様されました。
おまけ①の延長でもありますが、IIm7もV7(C7)も介さずに引き延ばすだけ引き延ばして I に直接解決することでダイブするかのような、解放感、解決感が得られます。
![](https://assets.st-note.com/img/1707454818573-aYDuUzp0bM.png?width=800)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?