スティーブライヒを完全に舐めてた話
Electric counterpointという曲をご存知でしょうか?アメリカの作曲家スティーブライヒが作曲した最大10本のギターをフィーチャーしたミニマルミュージックと言われるジャンルの音楽です。
3つの楽章で構成されており、ジャズギタリストのパットメセニーがオーバーダビングを駆使しながら録音し、different trains というアルバムに収められています。
ミニマルミュージックとか10本のギターパートとか言われても音が想像出来ないと思いますので聴いたことのない方は実際に聴いてみましょう。
これは3番目のfastという章なのですがなんかおしゃれでポップで聴きやすい曲ですよね。僕もこの章が1番お気に入りです。
そして何回か繰り返して聴いていくうちに僕は思ってしまいました?
これ俺でも作れるんじゃね?
ギターを弾きつつも友達のほとんど居ない僕はバンドを組むという事が出来ず、ほとんどギターだけで作られたこの曲を次の目標にしてしまいました。何も知らずにね。
Google先生調べたギターが10本くらい重なってるという情報だけを元に、適当に10本くらいそれっぽいフレーズ重ねてみる事にしました。なんとかなんべ〜
で、いざギターを重ねてみるとどうも違う、3本目くらいまではなんとなくそれっぽいの出来てるじゃんと思っていたのですがなんだかガチャガチャとしてまとまりがない。
適当に弾いたからリズムがズレてるんだと思い撮り直す。
そして撮り直してもやっぱりガチャガチャしてる。
なんでだろう?まだギター5本目なんだけど、あと5本も重ねるって無理じゃないの?
散々取り直し、音作りのせいにしたりしながら散々いじくり回したあと、ようやく何かがおかしいことに気づいた僕はここでやっとelectric counterpointという曲がどういう構造になっているのか調べようとします。我ながら馬鹿ですねぇ。
で見つけたのがYouTubeに上がっていたこれです。ちょうど僕がこんな感じのを作ろうとしていた3のfastを解説してくれています。英語なので一生懸命訳しました。そこでわかった事をまとめると、
この曲の基本的構造は
①ギター1.2.3.4. 基本的には全く同じフレーズを半音ずらして弾いている
②ギター5.6.7は同じコードをまた別のタイミングで鳴らしディレイ的な効果を狙ったもの
③そしてベースパートが2つ
④1番上のLiveというのは実際生演奏をする際にエレキギターを何本も同時に鳴らすのは現実的ではなく、曲を流しながら一本だけ主旋律を弾くパートだそうです。
でおそらくここが重要なのですが、元の解説動画でも「スティーブライヒはとても賢いことをしている」と言っているポイントです。
ギター1.2.3.4が同時に音が鳴った際に、1番高い音を並べたものが1番上のLiveパート、つまりメインメロディになるように構成しているのです。
counterpointとは「対位法」の意味でカノンのような主旋律と副旋律が入れ替わるような曲の構成を言います。
この曲は八分音符でものすごく小刻みに主旋律が入れ替わっているという事ですね。これは凄い。元の動画では13分あたりから解説があります。
僕は対位法自体、主旋律と副旋律が入れ替わるということくらいしか知らず、確かに和音が流れてたらメロディに聞こえるのは1番高い音だよなと、納得してしまいました。クラシックやってる人には当たり前のことなんでしょうか?
元の動画ではキーがどこにあるのか曖昧にしている等の説明をしていますが、つまりはEマイナーからCマイナーに転調していて、これはジャズをかじった事がある人であればモードジャズのように突然転調している、と言えばすんなり入ってくるとおもいます。
解説動画の後半ではパターンの切り貼り、そして3/2拍子と8/12拍子を同時に鳴らしている等の説明があります(はっきり言って僕にはそんな事して何の意味があるのか全然わからない)が、個人的にはそこまで重要でもないかなと思います。
解説動画が英語な事もあって自分自身ざっくりとしか理解は出来てないのですけど、「なんとなくそれっぽいフレーズを適当に重ねてれば似たような曲が完成するだろう」と思ってた自分は完全に馬鹿だったなぁという印象です。もうちょっと自分自身が音楽的にレベルアップしたらこんな感じの曲を書いてみたいと思いました。
※追記、この時に作った残骸が私のセカンドアルバムの5曲目、
Just fuckin’ chill になってます。手法としてはテリーライリーの In C と同じはずです。ちょっとずつフレーズ変えてくってやつです。
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