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気候変動が進まない理由。「気候カジノ」を読んで。

2018年にノーベル経済学賞を受賞したウイリアムノードハウス氏の「気候変動が進まない理由 気候カジノ 経済学から見た地球温暖化の最適解」を読んだ。気候変動の費用便益を分析し、炭素税や排出権取引の導入による解決策が書かれている。

最後の章で、気候変動対策に抵抗する力、対策を遅らせようとする力、についても触れられている。

気候変動は、炭素の排出が主要な原因ということで、関係する産業規模が桁違いに大きい。よりよい社会を望む市民は、抵抗の力学を認識し、市民の力をあわせて、より長期で公益が大きくなる社会に向けて動いていく必要があると思った。以下、気候変動対策が進まない3つの大きな理由抜粋。

①ナショナリストのジレンマ

経済的ナショナリズムから生じる排出削減費用が国家の負担であるのに対して気候変動を抑制することで生じるべきは世界中に広く分散されるため政府はジレンマに局面する。

2020年における世界的な最適炭素価格を計算したところ、それぞれの国が自国の利益のみを考慮した場合、非協力的な世界平均炭素価格は世界最適価格のおよそ1/10となることが分かった。

※本文より一部抜粋

②世代を超えたトレードオフの問題。

排出削減から生じる収益が持つ時間差という性質。

第一に世界全体から考えたときには非常に大きな利益をもたらすどの国も最終的に得をする

利益が生じるまでのタイムラグによってナショナリストのジレンマという誘引は増幅されコストの高い排出削減策の実施を先送りしたいという衝動は一層高まる

※本文より一部抜粋

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気候カジノ https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/15/P50760/
メモ:この本は2015年に出版のためデータは古い。現在は2050年までの純便益も各所得グループにおいて増加していると予想できる。

③政治的動機

野心的な地球温暖化政策によって得をする者もいれば損をする者もいるという避けようのない現実に関連している。

影響力の大きな産業を代表するごく少数の人々とそうした産業の息のかかった財力豊かなロビー団体が、今の世代もこれから生まれてくる世代も含む大多数の人々のより大きくて長期的な利益に資する政策を阻止してしまうのである。

※本文より一部抜粋

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↑アメリカ事例気候カジノ https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/15/P50760/

国、自治体の審議会や議会を見ていると、上記にあてはまるような議論が多々行われています。

できる限り多くの人にとって生きやすく、自然災害による悲しみが少なくなる社会を作るために、頑張っていきたいなと思います。

安定した気候を守るための市民活動に参加したい方はこちらへどうぞ。
読書会や勉強会も行っています!

9月23日にはノーベル経済学賞受賞のジャン・ティロール著「良き社会のための経済学」の気候変動に関する章の感想会も行う予定です。

ゼロエミッションを実現する会
https://zeroemi.org/

参考)
「地球温暖化はウソ?世論動かす“プロ”の暗躍」https://www.google.com/amp/s/www.nhk.jp/p/wdoc/ts/88Z7X45XZY/episode/te/X6XYVJVGYJ/

チョコレートでみんなを笑顔にできるように頑張ります!