エコフィール(エコ型石油給湯器)のメリット・デメリット

ガス給湯器はエコジョーズと呼ばれる燃費の良いタイプが主流になりつつありますが、石油給湯器に関してはイマイチ高効率タイプが伸び悩んでいるという印象です。

それもそのはず、エコジョーズと比べるとエコフィールは燃費効率という意味でも魅力が薄く、そのくせデメリットはエコジョーズと一緒ということで、業者側としても「積極的に売りに行くような商品ではない」ということが言えます。


例えば、ノーリツ製のエコジョーズは「エコスイッチを使いつつ、プロパンガスを大家族で使用」という条件こそあれど、年間で3万円以上の節約を可能にしたという指標を提示しています。

※エコスイッチというのは、出湯量を絞る機能のことです。出湯量を絞るので節水効果とガスの節約効果が期待できます。


元々、ガスのランニングコストが高いうえに更にプロパンガスの指標を持ってくることで「まやかしのお得感」を演出してはいるものの、年間で3万円もお得になるというインパクトは非常に大きく、売る側としてもお客さんにセールスしやすいです。

実際に「都市ガス使用、3人家族、エコスイッチを使わない」という、極めて一般的な条件で考えると、確実に年間で3万円もお得になることは考えられませんが、メーカーが大々的にそのような指標を発表しているという事実が大事で、ここにメリットを感じてお客さんは「じゃあこれにしようかな?」となります。


一方でエコフィールですが、こちらは年間で約6000円の節約効果だそうです。ガス給湯器が年間30000円と言っているのに、石油給湯器は年間たったの6000円です。

これをあの手この手で売ろうと考えても「1年間で1万円弱の灯油代の節約になる」と言うくらいが精いっぱいで、しかもこれだってメーカーが自分たちに都合が良くなるように試算した結果でしょうから、この6000円という数値にも無理が生じていると考えると、エコフィールの魅力は限りなく薄いと言わざるを得ません。


もちろんエコタイプの給湯器のメリットは「従来型に比べて燃費効率が良い事」です。他にも「地球にやさしい」とか色々ありますが、多くのお客さんがメリットとして捉えるのは燃費効率の良さくらいだと思います。

そのメリットですら、エコフィールは魅力として非常に乏しいわけです。一時期は自治体から助成金が出たり、メーカーでも販売を促進するために安く出したりしていたのですが、今ではもう助成金などは出ないので従来型とほぼ同条件で買うことになります。


ちなみに肝心な本体価格は意外と似たり寄ったりで、少しエコタイプの方が高いかなぁというくらいで、本体価格にはそんなに差はありません。

ただし、配管が1本増える分の施工費用、それから特殊な排気筒などの部材費が余計にかかる恐れがあります。


そしてエコフィールのデメリットですが、確実に言えるのは「中和器の存在」でしょう。従来型には搭載されていない部品で、エコタイプの給湯器に搭載されている代表的な部品が中和器です。

これはエコフィールだけでなくエコジョーズにも搭載されている部品なのですが、故障していなくても一定時間使用したら必ず交換が必要になります。その交換に掛かる費用が約15000円程度です。


給湯器の機器寿命は大体7年~10年と言われていますが、一昔前と比べて壊れやすくなった給湯器も、中には「1度も故障せずに10年以上使えた」というケースが結構ありました。

しかし、中和器の存在によってそれは一気に夢となります。10年間も使用すれば必ずどこかで中和器の交換が必要になるはずです。


エコジョーズなら年間で3万円もの燃料費が浮くと言っているわけですから、中和器の交換で15000円程度の出費があっても、十分にペイできそうなイメージがあります。

一方でエコフィールの場合、かなり見栄を張って出した指標が年間6000円の節約、そしていずれ15000円の中和器交換費用が発生すると考えると、ハッキリ言って節約面での旨味はほとんどないと言っていいでしょう。


室内設置型なら煙突費用もエコタイプの方が高いですし、中和器以外にも「エコタイプにしかない部品」というものが存在しますから、それらが壊れた時に「従来型なら発生しなかった故障」と考えると、お得になるとは言い難いです。


エコフィールが登場してもう10年前後になりますが、個人的にはまだまだおすすめできない理由がここにあります。



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