8月2日 「下着の日」

引き出しの中の小春日和。2012’11.12・Mon

女の子のおはなしです。
「女の子は、引き出しの中、水回り、
それから、下着はいつも奇麗に」。
そう育てられた。
引き出しの中、まあまあ。
水回り、そこそこ。
下着、……。
子供を産んだり、さらに病気をしたり、
生活に何らかの圧がかかるたび、
彩りが消えて行く、下着の引き出しの中。

子供の手も離れてきて、病気も少し落ち着いて、
ふと我に返ったように、
久しぶりに「用もなく」下着の引き出しの中を眺めた。
あーあ。
「こうやって女は彩りを失い、枯れてゆくのかしら」と見上げた赤や黄色に色づく木々に、
「それでいいのかしら?」とクスクスと笑われて、
季節は、晩秋から初冬。

散らない色を引き出しの中に咲かそうと、
ポケットの中、小さく握りこぶしを握りしめた
小春日和。


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