1月6日 「色の日」

いつかは無色 5月 27, 2015


駐車場脇の街灯の下を通ると、

黒と黄緑の命の攻防。


初夏を迎えたばかりの黄緑色のバッタ。

お腹をすかせて食べ物を待つ黒い蜘蛛。

そして、ふたつを繋いだ、

銀色に輝く蜘蛛の糸。


その光景を目に、

「バッタが食べられちゃう…」

「クモが食べものにありついた…」


最初に黄緑から見えた世界が浮かび、

次に黒から見えた世界が追いかけてきた。

やがて

黄緑と黒の景色が、銀色の糸に溶けた。

そして、数日後、彼らのことが気になり、

見上げた電柱にはもう何もなくなっていた。

思わず漏れたひと言で、

ひとつの出来事、現実をどう捉えているかが、

瞬時にあらわになる。

この世界に起きることは全て、

バッタと蜘蛛と、蜘蛛の糸。

儚く見えているこの世界は、何色側か。

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