1月17日 おむすびの日

おむすびの日 2019年01月17日

毎日、毎日、ちらっと横目に見ている、
日々のこよみ「今日はなんの日」。
今日は阪神淡路大震災があった日。
ボランティアや炊き出しが、
現代のこの国の人たちに根付いた時でもある。

人と人のつながりや、炊き出しの「おむすび」にちなんで、
この日は「おむすびの日」でもあるらしい。

お味噌汁と、人の手が握るおむすび以上に美味しいものって
ないんじゃないかと思う。
私がこの世界でいちばん好きな食べ物は、
夫が握るおむすびで、きっと息子も同じだと思う。

夫の握るおむすびは、まるまると大きく形がよくて、
外側はビシッと隙間なく完成したパズルのよう、
中はふっくらと、米同士が互いのパーソナルエリア(?)を
守っているような。
塩加減はちょっと濃いめの、具なしの塩にぎり。

いつか、息子も家族も、すごくかなしかった数年前の2月、
身も心もヨレヨレボロボロだったあの夜も、
もう外食しちゃおうかと思いかけ、
いやこんな時こそ、おうちでご飯を食べようと、

己を奮い立たせて、私は豚汁を、夫はおむすびを作った。

そして、豚汁をすすりながら、
夫が握ってくれた塩むすびを食べた。

おむすびの塩味と、こらえた涙の味が喉の奥で混ざり合うのを、
もぐもぐもぐもぐ噛んで、ごっくん飲み込んだら、
お腹の中からあったかな力が、じわじわ湧いた。
涙は、おむすびと食べるとあったかいんだなと知った。

私も美味しいおにぎりを握れるようになりたいけれど、
きっと夫の握るおむすび以上のおにぎりは作れない。
だから、おむすびは夫に任せて、別のことで頑張ろうと思う。

塩にぎりに、野菜たっぷり豚汁、甘い厚焼きたまご。
頬に流れた出来事も、喉の奥に隠した気持ちも、
米と米の隙間パーソナルエリアに託して、
ぜんぶ一緒に、もぐもぐ、ごっくん。

明日には、お腹のなかの塩むすびが、
今日のことすべてを、
昨日のことにしてくれる。


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