4月8日 貝の日

ちょっとショックなニュースに、
まだモヤモヤしている。

私よりちょうど10歳年上の、
姉さんの彼女は、適当に、
私を見守ってくれてる存在だった。

当時、私が30歳のとき、
彼女は40歳だった。

私が40歳になった時には、
付き合いは遠のいていたけど、
あの日の彼女の歳になったなあと、
今は50歳かあ、元気かなあと、
節目、節目に思い出したりする。

彼女の旦那さんは、
彼女よりさらに上で、
2人は自分たちを「二枚貝の夫婦」と、
言っていた。

子どもはいない、
血より魂で結びついていると自負する、
成熟した大人のカップルだった。

7年前、夫婦は東京から故郷へ戻って、
それからはずっと疎遠になっている。

遠くで2人、
仲良く歳を重ねているものと、
疑わなかった。

でも、
別れちゃったんだって。

どんな事情があったか分からないけれど、
2人がそれぞれに幸せなら…仕方ない。

と、思ったのに、
SNSで知ってしまった。

もう60歳近い元旦那さんの彼は、
若い誰かと結婚して、
つい先週、父親になっていた。

でもきっと彼女は、
「まあ、人生だよねー」と、
カラッと笑ってそう。

40歳のころすでに彼女は、
酸いも甘いも知り尽くして、
優しくて強かった。
ちょっと冷たいくらいに。

死ですら、
「みんな死んじゃうもん、
悲しいことなんてないよ」と、

細い指でタバコをふかしながら、
綺麗な短い黒髪を揺らし遠くを見つめる。
凛とした姿が忘れられない。

でも、
彼が病に倒れて意識不明になって、
峠を越え、目を覚ました朝のこと。
彼女を見た瞬間の彼の第一声が、
「○○ちゃん、ごはん食べた?」
だったことを、
彼女はおかしそうに、嬉しそうに話していた。

でも、結局、魂より血だったのかな。

私の勝手だけど、知らなくてよかった。

シンデレラも、アナ雪も、誰にでも、
その後の物語があるものだけど、
自分の気に入った物語は、
知らなければ、
ずっと、ハッピーエンドのまま。

(SNSの罪深さよ)

私と夫の間にも、
血で結ばれた絆はなくて、
そのことが、時に傷む。

かと言って、
魂の繋がりとか、ソウルフレンドとかも、
よく分からないけど。

でも、血だろうが、魂だろうが、
決してほどけない絆なんて、
そんなものはないし、過信はしない。

人の心は、季節とともにうつろうのに、
それでも、ともに暮らしている。

そのことを、
ただ尊く、愛しく思っていたい。







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