8月6日 風船の日

うたたねのうたかた  2017年10月03日


大人が夢を見るのが下手になったから、

夢の見方を思い出すツアーのようなものに参加して、
風船の国に行った。


そこでは皆んな、

歩く代わりにふわふわ飛んだりして楽しそうだった。

でも、ふわふわ飛びながらも、
その先にはそれぞれ行きたいところがあるみたいだった。


上手に飛ぶための体操教室なんかもあって、

試しにそれに参加してみた。


体操で身が軽くなり、

みんなが次々と飛んでゆく。


さあ、私も!というとき、

近くで1人、変わった体操をしていた女の人が、

急に私に手を伸ばしてきた。


自分のキャーという悲鳴で目が覚めた。

夫がびっくりして、大丈夫?

大丈夫だよとなだめてくれた声で、

風船の国から戻った。


私も、あと少しで飛べたのに。

でも今戻ったら、

また邪魔されちゃうかもしれないし…怖かった。

うっかり風船の国に戻らないよう、
暗闇に目をこらした。

前に進もうとする時というのは、

必ず後ろに引っ張られる。


揺り戻しは、

前後もあれば、

飛び立つ上下にもあるみたい。


夢を見るのが下手になった大人たちは、

風船の国からどこへ飛ぼうとしていたのか。


そこには妨げる者がいて、

それでもそれを振り払い飛ぼうとせよと、

あの時、誰かが私の手を引いた。


それは、

夫の手だったのか、

それとも、

自分自身だったのか。

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