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ゼロの平方根・前編②

【平成疑惑の銃弾・最後の13秒】


平成17年6月25日同日発売・週刊時事「平成疑惑の銃弾」□はじめに、我々編集部は今回の編集記事によって昭和五十九年に報道を開始した一流他社の特集記事のようにロスアンジェルス事件三浦和義容疑者のような狡猾な犯罪者をあぶり出すようなものでは無い、と始めに断っておく。ただ、まだ記憶新しい3月に起きた目黒区の二名射殺体事件、捜査の簡素な幕引きに対しては疑義を提してみようと思う。3月事件発生から3ヶ月、すでに食傷気味の読者に過去報道でもお伝えしていない事実と当取材陣が独自に入手した証言などをまとめ時間軸に沿って以下再現する。推理仮説は後述する。


[事件現場施設概要]

目黒区祐天寺築10年9階建てマンション総127室の7階一室、平成14年10月から居住。

一階中央正面エントランス
ガラス二枚自動開き扉、オートロック暗証番号開閉式、二カ所に監視カメラ二階吹き抜けの居住者ロビー二カ所を挟んで東、中央、西に3基のエレベーターとそれぞれ右側に階段。
偶数階は東、中央、西エレベーターに全室並列通路。奇数階は東、中央、西エレベーターそれぞれ順に、5、4、5室専用並列通路。

エントランス外側
左側㈱東和警備交代配置・駐車場エレベーターおよび階段

一階東北側
物流ヤード出入口
暗証番号開閉式、内側監視カメラ、地下駐車場二階ユーティリティー間連絡階段

地下1階駐車場
ロビー行きエレベーターおよび階段・物流ヤード行き階段、車両上り下り斜路に2台監視カメラ

エレベーター全部には監視カメラ


[平成17年3月25日の事件前]

午後2時35分

宮坂夫人が長女と同マンションに住む小学3年の女児を小型乗用車に乗せ英語会話教室から帰宅、長女と小3女児は長女のプレイルームで植物パズルなどで共に約一時間ほど過ごす。(小3女児の証言)


プレールームというのは夫人の書斎兼女児の勉強部屋で、夫人は港区の貿易法務事務所に属し海外商務の翻訳をしている。子供と共に1日を過ごせるため転居以来このソーホーワークをずっと続けている。(小三女児母親の談話)

午後3時40分頃
同時刻、不動産会社S社営業担当者から訪問の時間確認の電話連絡、その後東横線祐天寺駅から祐天寺マンションに向かう。


午後4時5分
マンション入口コールから間もなく、不動産会社S社担当者、板橋栄氏と営業社員N氏が入室
入れ替わりに小3女児帰宅
リビングルームのキッチンに近い側のテーブル席にて着席、宮坂夫人がお茶を準備した後、商談を開始。(営業社員N証言)

午後4時20分頃
宮坂祐一が突然訪問(宮坂夫妻は平成14年より別居中で離婚協議は継続中である。マンション暗証番号を所持しており、宮坂祐一の身勝手な性格を表す行動でもある)
祐一はチャイムも鳴らさずいきなり「来たよ」と声を出しながらリビングルームに入室。突然の訪問に夫人は驚いた表情であったが、来客の旨と不動産契約の進捗概略を聞き、長女の部屋に立ち寄った後、「よろしく」とだけ言って714号室を出る。(営業社員N証言)
夫人親子が二年ほど前にこのマンションに転居して以来時々祐一が訪ねて来ている。(小3女児母親の証言)
宮坂祐一は午後4時18分と29分に正面玄関と駐車場エレベーターを通過している(正面玄関監視カメラ記録を確認した東和警備担当者の証言)
ただし(不可解な事に)その後駐車場から714号室への足取りは監視カメラ等の記録からも捜査によっても確認されていない。


当取材班は通常に使用すると思われる中央西側エレベーターおよび駐車場エレベーターの監視カメラ映像約1時間を確認したが、警備担当者の証言通り(4時18分の入場と29分の退場通過のみ)であった。しかし、中央西側エレベーター内の画像については(何故か)ハードドライブのデータまでが前後数時間とびとびにノイズによる画像の乱れを生じ、内部の様子確認は不能。再入室の確認はできなかった。機器のメンテナンスをするH社によれば旧型システムでは良くおこる不具合の一つなのだそうだ。ただし、同様な不具合が起きたのはこの施設では初めての事であった。(取材班)

午後4時35分
営業社員N氏は以後の速い商談進行の結果、不動産会社に通話し専任媒介に必要な文書を取りに部署へ戻る。その間、長女は別の部屋に居た。その間、宮坂祐一を目撃していない。もちろん、夫人に打撲痕や他の傷を視認してもいない。(営業社員N氏の証言)。


[宮坂祐一の行動]

午後1時20分頃
㈱宮坂オートを黒のベンツで出る。宮坂祐一は単独行動。社員によれば週に一二度会合と称して出掛ける事が多く緊急の場合以外には行き先所在は確認しないのが慣例。しかしこの日は行く先と用件を女子社員二名に伝えている。(㈱宮坂オート女子社員の証言)

午後2時10分
江東区有明東京ビッグサイトの国際工作機械見本市会場、光学測定機器メーカーF社訪問、外国人一名と通訳者、旅行業者計2名と合流の上談話、F社当日の担当者によれば宮坂祐一のものと共に受け取った外国人の名刺はウクライナの貿易商社ラスベットウクライニCEOムィハーイロ・タルコフスキー氏である。[←A] 随伴者は日亜旅行嘱託通訳者I氏。タルコフスキー氏はF社の主軸商品であるXFEL収束装置に相当の興味を示し、担当者は詳細な商品データ等を示し価格をも提示した。約1時間の商談後ウクライナ大使館に近い滞在先渋谷セルリアンタワーホテルに向かったという事だ。(F社担当者の証言)

午後3時30分頃
有明インターから入った台場線が渋滞し芝浦から浜崎橋の間で何度か宮坂の携帯に着信があり都度応答していた。到着場所や時間をやり取りしていたようだった。(通訳者I氏の証言)

午後3時57分
渋谷セルリアンタワーホテルに到着
宮坂は運転席から一旦降りてタルコフスキー氏と握手を交わし二人を見送った。その後後部座席に別の二人の人物が乗り込む。[←B]
宮坂が祐天寺のマンション714号室に現れた時間から所要時間を逆算するとこのまま直接祐天寺に向かった事になる。(宴会口玄関監視ビデオの映像から)

午後4時13分
宮坂の黒大型乗用車が祐天寺マンション到着。駐車場斜路を通過。

監視カメラ連続静止画像数枚には運転席の背広姿がある。フロントウィンドウの上部スモーキングにより顔部分は不鮮明、かろうじて宮坂祐一だと思われる。助手席はシートベルトが確認できるのでだれも居ない。反対車線のもう一台の監視カメラの画像にも運転席の一瞬が残る。後部座席は黒く外光も反射し内部は何も見えない。ただ坂を下り始めた直後の画像1枚だけ、背景が透けて助手席の後部座席に一瞬の頭部が映っているのだ。[←C] (マンション駐車場監視カメラ二台の画像から)

午後4時15分
来客用有料駐車スペースNO2の駐車機器運用開始。(祐天寺マンション職員証言)


当取材班は索引←A←B←Cそれぞれの検証を行った。
[←A]
ウクライナ貿易商社ラスベットウクライニCEO、ムィハーイロ・タルコフスキー氏。タ氏はソビエト時代以降もウクライナ宇宙技術関連の世界的企業アーセナルの元主任技術者、アジア担当責任者も務めた。十年ほど前からア社を離れ最近はアジアの紛争域でのやり手ブローカーとして名高く、兵器開発競争に関わる現実版007諜報戦ボルゴルヌイ事件にも関わっていたとされる。宇宙安全保障の根幹を成すこうした先端レーザー技術の危険域への漏出には最大の警戒線を敷いているようだ。日本では米国NSAおよびCIA情報を基にした公安外事部のVIP更新リストには度々登場していた。今回の訪日でも公安のマークがあったのは間違いがない。祐天寺事件後(通訳者I氏はウクライナ大使館を通じ即刻通報している)タルコフスキー氏は2週間滞在予定を切り上げ事件の翌々日に日本を出国している。(I氏証言)

[←B]
二人の人物
監視ビデオの映像を警察庁警備局OBで「日の丸CIA」の著書のある作家菊名巌氏にも見てもらった。菊名氏の答えは次のよう。
「乗用車後部座席に乗り込むのは序列下位の現役公安、こちらの記者さんがたの調べからもおそらく外事一課のM氏ではないかと思います。対ロシア畑のベテランだそうです。歩き方に特徴があるコートの男性は元公安調査庁S氏です。内閣情報調査室の調査官なども歴任した警備畑の元警視監で一時期裏理事官と噂されたエリート。近々開設が決まりそうなカウンターインテリジェンス(防諜)の部局に戻るとの噂もあります。やや痩けた頬が特徴的で名前をもじった「死に神」の異名を持っていました。M氏の着ているダークグレーのブルゾンは一見なんの変哲も無い作業服のようですがおそらく防刃効果の高いゴアテックス仕様。中国では金回りの良い城管(中国地方警察の最下位組織員、江戸岡っ引きの現代版、評判が頗る悪い)の間では今流行っているものです。
二人がツルんでいるとなるとやはりマルタイ(対象)はタルコフスキーでしょうか、宮坂祐一はゼロ(捜査協力者)だという可能性があります。

[←C]
後部座席の男
「確かに一名後部座席に乗っていますね。座席位置が替わらなければこの人物はM氏という事になります。S氏がしゃがみ込んでカメラを避けていたなら別ですが、おそらく途中で車から降りていたと思います。タルコフスキー氏との接触について情報をやり取りするのであれば警戒感無しに会話ができる車内で十分、だからS氏は途中で消えたのでしょう。ただ、M氏が車内に残っていたとすれば次の行き先があった、と考えられます。マンション部屋に立ち寄った理由もあったわけですね。

午後4時48分
夫人はこの時夫の指示によりコンビニに指定銘柄の国産ウィスキーと氷を買いに外出(捜査員談話)

正面玄関通過(正面玄関監視カメラ記録を確認した東和警備担当者の証言)


同時刻、不動産会社営業社員N氏は板橋栄さんからの通話を恵比寿駅構内で受信。指示により文書の再持参を中止して営業部署に戻る。理由については聞いていない。(営業社員N氏の証言)

午後4時53分
祐天寺マンション向かい側、コンビニエンスストアサンエス祐天寺一丁目店に夫人入店、まずトイレを借りた後ウィスキー、ソフトドリンク、詰め替え用ウェットティッシュ、氷パックを購入しようとレジに並んだ。この時夫人の顔が赤く腫れがあるように感じた。
(当日のアルバイト男性の証言)

午後4時53分32秒
一発目の銃声
午後4時53分45秒
二発目の銃声
(コンビニエンスストア監視カメラ記録から推定)
二発の発砲破裂音はリビングルームの南側解放部から道路を挟んだ祐天寺マンション南西側7階建て建物背面に反響し北側坂上に位置する上目黒二丁目辺りにも届いたものと思われる。

午後4時55分
複数警視庁110番通報

午後5時00分
現場付近に警視庁パトカー等が到着、付近を捜索

午後5時03分
夫人がマンション到着、この時すでに東和警備職員、マンション設備職員、付近住民、そして警察官などでエントランス付近は混乱。警備職員と共に7階へ向かう。

午後5時05分
夫人および警備職員が714号室へ入室、警備職員は玄関通路付近から惨状を視認し直ちに本社警備本部と一階警備室に同時通報。夫人は部屋の隅でうずくまっていた長女の介抱を始めていた。約2分後、警察官二名が入室した。(東和警備職員の証言)

午後5時08分
警視庁指令、特別緊急配備、目黒南署管内緊急配備

午後5時15分
捜査員多数捜査開始、消防救急も到着
午後5時25分
夫人および長女、碑文谷中央病院へ緊急搬送



週刊時事「平成疑惑の銃弾」仮説
[13分間のイベント]

最初のイベントは午後4時35分から午後4時48分まで

おそらくこの間に事件の序章があった。
宮坂祐一が再び訪れ、夫人との軋轢を生じ、不動産契約の進捗をも阻害し、そして終幕を開け始めた。
その最初の13分のイベントである。
宮坂祐一は平成15年12月3日に白井研一から小型拳銃二丁を現金45万円で不法購入している。大胆さと裏腹に用心深い宮坂祐一は今後捜査が及んだ時のためにこのマンションの室内のどこかにそれを隠していた。その後M氏らの情報屋を務めるに至って互いの懇意の証しに二丁の拳銃の処分をこの日委ねようとしたのではないか。宮坂祐一の身の保全の為には賢い手法だ。だからマンションの転売が進んでいる事を知り、急いで回収に訪れた。
しかし一度目の訪問で簡単に終了するはずの事がなし得なかった。
事件発生直後の現場検証、その後の改修工事、整理、移転に際してもコルト拳銃が見つかったという情報は無い。二丁がこの部屋のあったとするなら一度目の訪問では一丁の拳銃、コルトポケットだけが地下駐車場に居たM氏の手に渡った。おそらく怪しまれいように厳重にくるまれていた拳銃一丁と銃弾の重さを取り扱い不慣れな宮坂祐一が二丁だと量ったからなのだろう。

午後4時40分

宮坂祐一は行動を急ぐ警備局外事課M氏を伴って地下駐車場来客用パーキングから近い位置の東側物流ヤード行き、人目を避けながら管理者用階段を通り二階ユーティリティーへ、更に用心深くそこから東側エレベーターで8階に上がり東側エレベーターから7階へ下りた。手間をかけ慎重にアクセスした。事件発生直後、現場に多数の警察官が集まり始めた時二階ユーティリティー階段から警察手帳のような物をかざして降りてきた黒っぽいジャケットの男とすれ違ったという目撃証言を事件から1ヶ月ほど後に取材班がつかんでいる。グレーのブルゾンジャケットだったかもしれない、腕の腕章などは記憶に無い、身長が男性と同じ170㎝ぐらいで頑強そうな体格、少し太目の黒縁メガネをしていたが警察手帳を突き出していて人相はわからない、階段の靴音も記憶に無い、発砲音をマンション前で聴いてもいて当時から不審に思っていたが職場への報告はしていない、また捜査員から尋ねられる事もなかった、と言う。
(目撃した男性は当時東和警備仮採用研修中の男性で現在は別の職業に就いている。この元見習警備員は本誌の愛読者の一人で編集部に直接ご連絡いただき情報を提供された。
着衣、体型、靴底の特徴(黒っぽいスニーカー様)は似ている、眼鏡はとっさの小道具だ。M氏に違いない。この情報入手はその後の取材の大きな転換点となった。これがM氏入室の推測をした根拠である。

一度714号室を退出し再訪問までの片道所要時間は約1分半、地下駐車場車内のM氏と会話を交わしてから戻った妥当な往復所要時間5~7分である。

午後4時42分
宮坂祐一は再びドアチャイムを使わず714号室に入る。

室内には夫人、長女、そして板橋栄氏が居た。再びの訪問にリビングルームで不動産契約の打ち合わせを進めていた夫人と板橋氏は再び宮坂祐一の登場に驚く。
仕事の打ち合わせに手慣れている夫人は祐一を別の部屋で待機するよう頼む。(午後4時半頃の状況として夫人は捜査員に説明している)

数分後、長女の部屋から出てきた宮坂祐一は急に態度を荒げ夫人の左頬を殴打し転倒させた。不動産契約に自分が疎外された事に対し怒りをぶちまけた。
(夫人は夫との些かな口論は認めたものの受傷は自分の過失だと捜査員に語っている。おそらくまだ続柄は夫であった宮坂祐一をかばったものなのだろう。宮坂祐一は夫人に銘柄指定のアルコール飲料等を買いに行くように強制した、夫人は興奮した夫の気分を更に高揚させない為その指図に従った、とも言っている。)

警察官をマンション内のどこかで待たせたまま飲酒し運転をしようとしたものではあるまい。威嚇してまでして外に追いやる必要があった。それはもうわからない。ただ、部屋で荒れた父親の様子に長女が身をすぼませて耐えていたには違いない。

午後4時48分
不動産会社の営業マンとして板橋氏はこの夫婦間のトラブルに遭遇、機転によりこの日の計画進行を中止した。そして部下にそれを伝える。

この直後に宮坂祐一の所持していたとされる25口径FNポケット拳銃で悲劇が起きた。
殺害目的、心中目的、脅迫目的、とっさの怨恨、何らかの動機で宮坂祐一が拳銃を所持し再び現れた、とされている。

最終のイベントは午後4時48分から午後4時53分のわずか5分間。拳銃に関わり何か成り行きに捻れが生じて板橋氏との争いが起きた。拳銃を認識した板橋氏が拳銃を取り上げようとして小競り合いが生じた。そして最後のたった十三秒、たった二発の銃弾が二つの命をあっさりと奪ってしまったのである。



「平成疑惑の銃弾」仮説
[最後の十三秒間]

取材班は死体検案書の写しとFN拳銃のモデルガンを持ち込み、新進推理小説家で新横浜病院の外科医山科さくら氏にこの七秒間の検証をお願いした。


「ご遺体を直接検視したわけではありませんし詳しい検案書も詳しく吟味したわけでもありませんから、軽々に断定などとはいきませんよ。あくまでも素人意見と思ってくださいね。
まず、板橋さんの死因ですが、拳銃の銃口を上から押さえ付けるような位置で銃弾を受けています。発射角度、胸の貫入部弾丸の停止位置から考えて立っていた姿勢で発砲を受けたのだと思います。
板橋さん、元は自衛官ですから銃器の取り扱いには慣れていたはず、銃口を向けられトリガーに指が掛かっている、まして安全装置が解除されているのが視認できたとすれば、いきなりそれを強引にもぎ取ろうとはしないはず。まず安全装置は掛かってはいなかった。当たり前の話ですけど。

ちょっと構えてみてください。

ただ、もし至近でいきなり銃を向けられたら格闘術を訓練された方ならとっさに相手の胸に入り銃口を上に向けます、こんなふうに、きっと。

二人とも体格のよろしい方のようで腕力は互角って感じですよね。でも現場の乱れ等からその格闘は無かったみたいですね。

板橋さん、右親指の付け根部分に火傷痕が所見されたそうですね。だから掴もうとしたのでしょう、多分ゆっくりとでしょう。トリガーに相手指が掛かってはいなかった、その掴みかけた時は。
その直後、二人に互いの力が入ってしまった、銃把を掴んだ宮坂さんの指が入って発射されてしまった。こんなところでしょうか、私の素人考えですけれど。
こうして、板橋さんは膝が折れ前のめりで床に崩れ落ちるように倒れ込みます。こんな感じ、ですか。

私の疑問はこの後です。多分皆さんも同じように思われているでしょうね。射殺認識など相手に対する加害意図が無いと軽い発射衝撃にも驚いてとっさに手を離してしまう事もあります。で、きっとこの時、板橋さんに銃口が向けられたまま、板橋さんの手に残ったのでしょうね。掌にわずかな火傷痕も所見されているようですから。

こんどはその拳銃の銃口が宮坂さんに向けられたわけですね。板橋さん即死とされますが実際は瀕死の状態で動作があったのでしょうね。その板橋さんが拳銃を持ち替えなければそうなりませんから。
フィクションの戦闘シーンなんかですと果敢に相手に撃ち返したりしますが、実際にはあんまり有り得ない事、腕や指のコントロールなども困難です。でも無いとは言い切れませんけど。
しかし拳銃の反転がなければ次の発砲の結果がありませんから板橋さんは拳銃を握り直したのでしょうかね。不思議です。
その後宮坂さんがその拳銃を取ろうとして、低い位置ですね、板橋さんの手にある拳銃、それをソファーに腰掛けて、発射のショックでソファーに座り込んでしまっている状態で腕を伸ばして取り上げようとして、引こうとしたら板橋さんの指がトリガーに掛かっていて二発目が発射した。遺体に遺った弾の通り道からそんな状況に思えます。拳銃を引こうとした慣性と弾の押す力でソファーに座らされた格好で即死したことはうなずけます。
しかしトリガーの指です。銃口は宮坂さんに向けられていたのですから宮坂さんの指がトリガーを押したとすると体の慣性方向に矛盾が生じます。ですからトリガーの指は板橋さんのものと考えたのでしょうね。その時、一回目の暴発のように二人の力が一瞬作用してしまったのでしょうか。
板橋さんには死後硬直などまだありませんからトリガーに指が掛かっていたとしてもある程度もう片方の手で支えなければトリガーを引けません。弾は前にも飛び出さなくなりますしね。板橋さんが最後の力を振り絞って、かつ、大事なところですが、宮坂さんに反撃しようと意図して、それで構えていなければ暴発にも至らないのじゃないかって。釈然とはしないわけですよね。
発射衝撃も生じますから、なんか変、ですよね。誰かが支えの手を貸したんだったら別ですけど、板橋さんにもう意識がないなら。
私もアメリカで22口径の銃を実射した経験がありますが、女ですけど、かなりきつく構えていないと打てません。
ほらこんなふうに。

そうしないと反動で拳銃自体が後ろに飛んでしまいますよ。」


「山科さん、興味深い率直なご意見、ありがとうございました。」

NEXT→③公安の関与 遺族の回復

https://note.com/kotan777/n/n655771c7c268

全エピソード一覧を見る

https://note.com/kotan777/n/n2f3d40418d14

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