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ル・コルビュジエの「伽藍が白かったとき」 / 森を創る民のささやき

「森を創る民のささやき」ブログでの記事(2014年3月9日)とその追記記事です。

#140 「伽藍が白かったとき」

題名:「伽藍が白かったとき」
作者:ル コルビュジエ
出版社:岩波書店
発行年:2007/7 ※原書は1937
読んだ期間:2014/02

あのコルビュジエ先生が、アメリカ・ニューヨークを訪れたときのエッセイ。

伽藍(中世の建築)が、人間的・文化的に豊かな時代。近代化・機械化の進むアメリカを見て、ヨーロッパとの価値観の対比等が述べられ、人間的生活とは何か、また、そのために必要な都市のあり方、などを提示する一冊。コルビュジエ建築の基本思想が垣間みれる。

靴・衣服・食料・飲料・住居・本・映画・演劇・美術品などが社会に有益な生産であり、それ以外のものは浪費的なものである。その浪費のために働く時間も、また大いなる無駄。最低限の労働を行い、閑暇の時間を持ち、そういう時間があることで、無私無欲の仕事が生まれ、人間的・文化的な生活につながる。

そのためには、都市は、横に広がるのではなく、縦(高さ)に伸ばし、通勤のために失われる時間を最小限にすべき。また、建築だけでなく閑暇利用のための施設もおくなど、人間のための都市に組織替えすること。

なんだろう、この哲学的かつ軽妙な文章力は。

(本書での名言)
・伽藍が白かったとき、人々はすべてのことにこぞって参加した。

・伽藍は白く、思想は明晰で、精神は活気に溢れ、光景は清らかであった。
フランスのわれわれは、かつて伽藍が白かったときの、時代の姿を眼前に持っている。

・伽藍が白かったとき、世界全体が、一つの文明の行動と未来と調和ある創造とに対する大きな信念によって高揚されていた。

・この国フランスのこの時代において最も美しいもの、建築 ー理性と詩情が共存し、智慧と企画が協同する建築という事物ー 私は建築に特有の発明と勇気と創造的精神を、憎しみや怖れや精神の貧しさや無気力のもつあらゆる残忍さをもって忌まわしくも執拗に破壊し打ち負かそうとする人々を、良心の苛責と後悔に導いてやりたい。

森を創る民のささやき March 9 2014

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