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肩甲骨の動きの基本

初めまして!
理学療法士のまつうらこーたと申します.

記念すべき,”STMマガジン第1弾”です!
初めて,このマガジンを知った方が大多数だと思いますので,「これ何のマガジン?」と思った方は,下記の記事をご覧ください.

今回,noteを書くきっかけは…
・Twitterだと文字数制限があることと,知識の整理や文章力改善の為
郷間先生志水先生からnoteでのoutputの背中を押して頂けた事
しーごさんにSTM(Scapular Thoracic Movement)マガジンにお誘い頂いた事

そんな理由からマガジンに携わらせて頂きます.
基本”無料”なので,お時間ある時にお読み頂ければ幸いです.

今回,”肩甲骨の動きの定義”にフォーカスを当てましたが…
・動き方って何がある?(意外と学校では習わないものも?)
・動きの定義が曖昧

などの先生方には少し臨床のヒントがあるかもしれません.
実際私も,動きの定義を意識するようになってからは関節の操作や三次元的に捉えやすく?なった感じもあります.

では,本題に入る前に…
簡単な私の自己紹介だけ…

氏名:まつうらこーた(PT8年目)
*帰国子女(グアム)→現在,英語は話せません笑
好きな分野:肩関節,投球障害
経歴:都内のスポーツ整形→神奈川の整形外科クリニック
*都内勤め時は,術前後のBiodexやMicro FETの測定担当
学会発表:県学会での症例報告,肩の運動機能研究会(共同演者のみ)
好きな選手:坂本勇人選手
好きな野球メーカー:ミズノ,スラッガー,adidas
好きな女優:北川景子
好きなお酒:芋焼酎(特に宮崎の川越)
ここまでの話で少しでも共感もって頂ける部分があれば嬉しいです笑

では,本題に進みたいと思います!
臨床で肩関節疾患の対象者への介入をされる時は,少なからず肩甲骨を気にすることがあると思います.


正直,私が臨床出だした時は可動域を出したくて…
肩甲上腕関節の特に「上腕骨頭の動き」をひたすら出そうと必死にもがいていました.(反省)

しかし,肩甲上腕関節は”上腕骨頭と関節窩(肩甲骨)”で構成される球関節ですから,上腕骨頭の動きだけを意識すると…やはり結果は出にくいと思います.

そうなると必然的に「関節窩(肩甲骨)の向きや位置関係」を意識することが必要と感じました.

という事で今回は,肩甲骨の動きの定義をお伝えできればと思い,noteを書いていきたいと思います.
宜しく御願い致します.

1.肩甲骨の動き

基本的な動きですが,

上方回旋(Upward rotation)・下方回旋(Downward rotation)
前傾(Anterior tilt)・後傾(Posterior tilt)
挙上(Elevation)・下制(Depression)
内旋(Internal rotation)・外旋(External rotation)
内転(Retraction)・外転(Protraction)

肩甲骨の動きは複合的に合わさる事で動きが成立します.
そして”肩甲骨は胸郭上を動き,胸鎖関節と肩鎖関節を軸”に動きが生じます.

2.胸鎖関節軸の肩甲骨の動き


復習ですが胸鎖関節(Sternoclavicular joint:SC j)とは…
関節形状は,鞍関節であり鎖骨と胸骨の間には関節円板があります.
そして何より体幹と唯一関節を構成しています.

鎖骨内側端が胸骨鎖骨切痕と約 1/2 しか接触しておらず,骨性支持に乏しいですが,周囲の軟部組織によって安定性を高めています.
深掘りすると,胸鎖関節の分類も色々ありますが…今回は割愛します.

では肩甲骨の動きですが…
簡単に述べると,SC j軸の動きは「挙上・下制,内・外転」で作用します.

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このように各動きでも若干の軸?可動する部分が異なります.
ですので,可動性を評価する際には簡単に自身の指を鎖骨内側端と胸骨に分けて操作ると上記のスライドに沿った動きをイメージできるかもしれません.
しかし,ここまで細かく評価する必要があるかは…??です.

ちなみに,この後出てきますが内外転は”棘鎖角”が変わらない動きというのも大切な要素だと思います.


SC jの番外編も少し…

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こう見ると,鎖骨遠位が下方に落ち込む事で鎖骨近位が上方偏位して適合性が悪くなるケースもありそうです.
体表からの視診で,「鎖骨遠位が落ち込む=関節円板が上方突出してる」にはならないとは思いますので,そこは注意が必要です.


他にも,SC jのOAもあるので少しの知識はもっておくと何かヒントになるかもしれません!

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こう見るとSC jのOAって多いですよね…(この数字見たとき驚きました)
単純レントゲン画像でSC jの部分をメインで撮像する事は少ないと思いますが…
ここまでOAが多いとなるとSC jはよく働く関節である事が示唆されます.
なので,重要度が高い事も裏付けます.

3.肩鎖関節軸の肩甲骨の動き


同様に肩鎖関節(Acromioclavicular joint:AC j)の復習ですが…
関節の形状は,鎖骨肩峰端と肩峰内側縁とで構成される平面関節であり,SC j同様に関節円板が存在します.


AC jは肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯(円錐と菱形靭帯)によって安定性が担保されています.
AC jもSC j同様に鎖骨の形状や肩峰と鎖骨の位置関係でのバリエーションも多くありますが、そこも今回は割愛します.

では,AC jの動きですが「前・後傾,上・下方回旋,内・外旋」で作用します.

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いわゆる肩関節の挙上動作の最終域では「肩甲骨の上方回旋,後傾,外旋」が必要と言われています.
なので,短絡的に考えると挙上動作にはAC  j軸の肩甲骨の動きがとても大切になってきます!


ですが,冒頭でも述べたように肩の動きは複合的で複雑ですので,AC jだけの評価,介入をすれば良いわけではありません.

私が肩を学び出したときに,肩甲骨の内外転と内外旋は混在していました.
というより,言い方が異なるだけかと勘違いしてました.
その辺りのおさらいにもなれば良いかなと思います.
内外旋の動きのイメージは以下のスライドです.

スクリーンショット 2021-02-11 9.34.25

肩甲骨の内外旋のポイントとしては,胸郭と鎖骨に対する位置です.
そして先ほども少し出しましたが,この棘鎖角というのも聞いた事はあるかもしれませんが,肩甲骨の内外旋と大きく関わってきます.

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棘鎖角はスライドにあるように,鎖骨長軸と肩甲棘長軸を結んだ線から成る角度なので,例えばこの角度が増えるほど,AC j軸上の肩甲骨内旋が増加する.という結果になると思います.


このように内外旋を見るときは,肩甲骨だけでなく鎖骨の位置も気にする事が大切です!
肩甲骨の静的位置評価をする際に水平面上で,肩甲棘長軸が対側よりも内旋方向に入ってるから…肩甲骨内旋位だ!
と位置を捉えるのは,少々安易かもしれません.
その辺りは,この今後の評価方法で述べたいと思います.

AC jの番外編も…

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SC j同様,AC jもOAがある事で疼痛や病態の進行に繋がる要因がありそうですね…
こちらもやはり関節の機能が低下する事での弊害が予測されます.

*今回の纏め*

*肩甲骨の動きは大きく分けて10種類ある

上方回旋(Upward rotation)・下方回旋(Downward rotation)
前傾(Anterior tilt)・後傾(Posterior tilt)
挙上(Elevation)・下制(Depression)
内旋(Internal rotation)・外旋(External rotation)
内転(Retraction)・外転(Protraction)

SC j(胸鎖関節)軸の動き

挙上(Elevation)・下制(Depression)
内転(Retraction)・外転(Protraction)

AC j(肩鎖関節)軸の動き
上方回旋(Upward rotation)・下方回旋(Downward rotation)
前傾(Anterior tilt)・後傾(Posterior tilt)
内旋(Internal rotation)・外旋(External rotation)

肩甲骨の動きは多くの要素が混在し,軸による動きが異なる.

今回は,肩甲骨の基本的な動きの定義を簡単に纏めました.
この辺りの動き方の定義は評価・介入にも直結しますし,セラピスト間の共通言語として解釈しておく事が対象者をシェアして診る時には必要になると感じます.(カルテ記載や申し送りミス間違えの防止にも繋がる?)

今後は,肩甲骨の静的位置や動作時の肩甲骨動態や動的評価・Scapular Dyskinesis(肩甲骨位置,運動異常),介入方法等についても”のんびり”纏めていきたいと思います.

最後まで読んで頂いた方々,貴重なお時間を頂き有難う御座いました.
何か,不明点やご指摘等ありましたnoteのコメント欄やTwitterのリツイート等入れてもらえたら幸いです.
宜しくお願い致します.



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