見出し画像

ウィナーズスピーチ 〜コーチの一言〜

テニス全豪オープンが開幕しました。西岡良仁選手が自身初のベスト16に進み、ひとつ殻を破った姿を見せてくれています。

さて、この大会で思い出すのは4年前の女子シングルス決勝、大坂なおみ対ぺトラ・クビトバ。大坂選手が優勝した試合です。
決して楽な試合ではありませんでした。セカンドセット後半ではマッチポイントを落とした後に崩れ、そこを相手も攻めてくる。しかし、そこからしっかり戻ってきた。ファイナルは安定感を取り戻して、見事な勝利。

最後まで気迫を強く出して戦ったクビトバ選手も、持てる技術とパワーを振り絞って戦いきった大坂選手もともに素晴らしいプレーでした。

そして、チャンピオンとしてのスピーチ。
たどたどしい語りは当時の大坂選手の特徴でもありましたが、自身の勝利よりも相手への敬意が先でした。
「あなたとはずっと対戦したいと思っていた」
「あなたが苦しい時間を乗り越えてきたことはもちろん知っている」
「あなたは本当にすごい。今日、そのあなたとグランドスラム決勝を戦えたことを私は誇りに思います」

クビトバ選手はウィンブルドンのシングルスで2度優勝している名選手です。
この大会の2年前に自宅を襲った強盗を撃退しようと立ち向かい、凶刃で利き腕の左の手首を刺されました。神経を傷つけられ、復帰できないのではと危ぶまれた。そこから手術とリハビリを経て、世界ランキングトップ10に復帰。そしてこの決勝。以前よりも更に引き締まった身体のシェイプを見ても、この間の努力が見えました。

そのクビトバ選手への敬意を示す大坂選手。
この時は全米に続いてグランドスラム大会2連続優勝と素晴らしい偉業。
でも、その嬉しさよりも不幸な負傷から苦難のカムバックを果たした相手への敬意を大きく示すスピーチ。
悔しい敗戦の後でも、笑顔で返すクビトバ選手。
本当のスポーツマンシップとはこういうことだと、感じました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?