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【003】山茶花とカマキリ【庭と虫と】

どうも!長崎県で若手庭師として働いている永田です!

僕のコラムでは「虫を知ることで、庭が好きになる」をテーマに、祖父母の庭を実際に手入れしながら出会った虫の生態や付き合い方を書いていきます。

今回は実際に庭の山茶花(サザンカ)の剪定を行いました。

写真 2020-11-01 9 32 19

はい、すみません。
剪定する前の写真を撮り忘れていたため、before画像が中途半端になりました。笑

うちの山茶花は昨年までメンテナンスをして頂いていた庭師さんによって刈込み剪定で仕上げてもらっていました。
約1年完全ノータッチ状態であるため、枝葉一玉一玉がワサッとなっています。数本徒長(伸びている)枝もあったりしています。
今回は刈込み剪定ではなく、枝葉を透かしていく剪定をしていきたいと思います。

というのも、このようにゴチャっとした状態は枝葉が密な状態であるため通気性が悪くなってしまいます。植木を食害する虫たちにとって、外敵である鳥などから身を潜めるのに最適の場所となるだけでなく、カビなどの病気を発症しやすくなるデメリットがあります。

早速剪定を行っていくんですが・・・
食痕があるのでいるかなぁと期待していた彼らがいないんですよねぇ・・・
チャドクガが・・・

チャドクガはチョウ目ドクガ科の昆虫(蛾)で幼虫、蛹、成虫の全てに毒針毛が生えているため、刺されるとかぶれます。痒いです。
また脱皮後の抜け殻や卵、死骸にも毒針毛が付着しているためかぶれます。
なんなら、刺激を与えたり風が吹いたりすると毛が舞うためかぶれます。

そんなチャドクガ、毒があるため人々に敬遠されているのですが、それ以上に嫌われている理由として一箇所に数十匹の群れを形成している姿がかなりゾッとします。(群れを作るのは若齢幼虫の時のみ)
※庭仕事をする上で、どんな虫なのか知っておいて損はないので写真は是非検索してみてください。笑

仕事で剪定現場を回っているときは、ほぼ毎日見ていたはずなんですけど・・・ おかしいなぁ・・・
なんて思いながら枝葉をめくっていると・・・


写真 2020-11-01 9 46 23

ハラビロカマキリさんいました。

写真 2020-11-01 9 46 54

良いカメラ目線ですね~ いいよ~

写真 2020-11-01 9 47 17

逆さまもいいね~ 決まってるね~

こんな感じでカマキリを愛でていると、黒目がこちらを追いかけるように見ていることに気づきます。
これは偽瞳孔(ぎどうこう)と言ってトンボや蝶等にも見られます。

カマキリ等の昆虫の目は単眼と複眼に分かれます。複眼は複数の眼の集合でできています。偽瞳孔はこの複眼のうちの数個の眼が黒く光り反射し、瞳孔のように見えているというわけなんですね。
(偽瞳孔の仕組みが分かりやすい動画があったので貼ります)


ちなみに単眼は触覚の間にある眼のことを指しており、カマキリを含めた多くの昆虫たちの頭部(触覚の間)に3つ三角形に配置しています。この単眼は獲物などを見る複眼の機能とは違い、光などを感知する機能を持っています。


今回、山茶花にチャドクガが見当たらなかったのは、この子が捕食してくれたのかもしれません。しかし、カマキリがチャドクガを好んで捕食することはなく、カマキリがいてくれれば安心!というわけではないです。

チャドクガが発生した場合は幼虫がついた枝を切除し、新聞紙やビニール袋などに入れて上から踏みます。これで幼虫は駆除できるのですが、前述の通り毒針毛は残ったままなので、50度以上のお湯をかけると無毒化することができます。
薬を散布する方法もありますが、散布すると驚いた幼虫が一斉に枝葉から落ち毒針毛が舞い上がる可能性があるのと、何よりもカマキリなどの益虫をも駆除してしまう恐れがあります。

やっぱり幼虫は抵抗があるという方は卵の時期に駆除するのがお勧めです。チャドクガの産卵時期はおおよそ7月と10月の年2回(気候や地域によっては年3回らしい)となっているため、産卵し終わった月末から翌月辺りに駆除すると良いです。
毛の塊の中に卵が入っており、葉の裏側など良く見ると発見することができます。幼虫同様、毒針毛に気を付けながら駆除してください。


さて剪定していた山茶花ですが、最終的にこうなりました。


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剪定の良し悪しは置いときましょう。笑
通気性は確保できました。ばっちりです。完璧です。
例年、刈込み仕上げだったため幹側の枝が少ないため、今回剪定した切り口から新しい眼をふかせて、数年かけていい形にしていこうと思います。

次回も剪定しながら、昆虫を探していこうと思います。

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