ショート 失ったもの
ずっと〈失った〉って思っていたんだ。
共に年老いて、ヨボヨボしながらも仕事して。
仕事を辞めたら二人でのんびり笑いながら過ごしている。
一緒に過ごす未来が全て消えた。
でも、素敵な老後の姿を与えられていたんだなって気が付いた。
私、彼と出会う以前にすでにバツイチなんだよね。
あの頃の生活には思い描く老後なんて無かった。
だからなんとなく当たり前に手に入ると思うほどに
自然に思い描ける老後を手に入れていたんだって思った。
確かに叶わないけれど
そんな素敵な夢を感じさせてくれていた事に感謝したい。
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