20cm弱の自転車タイヤ用ポンプ3本の比較
先日、山を走りたいな~と出発、しばらくしてハッとした。「やべ、ポンプ持って来なかった」。仕方なく途中のショップに寄って手頃なものを購入。幸いパンクは起きなかったが、気がつけば似たような携帯ポンプを3つ所有している状態に。せっかくなので使い勝手を比較してみることにした。
比較するポンプ3本。写真の上から順番に、
Lezyne HP Drive(定価3570円+税)、
Topeak RaceRocket(定価3600円+税)、
Panaracer 携帯ワンタッチポンプ BMP-22AEZ(定価2400円+税)。
結論から先に書いておくと、この中での自分にとってのベストはHP Drive。構造が単純で扱い易いので。
長さ、重さ、形
縮めた状態での長さと重量(いずれも実測値)、形状の特徴を次に示す。
HP Drive: 190mm、75g、少しずんぐり。
RaceRocket: 183mm、84g、最もスリム。
BMP-22AEZ: 170mm、82g、ヘッド部の出っ張りがある。
なおRaceRocketは後端のドーム状の樹脂部品を外すと178mm、83gとなる。
どのポンプもツールケースや一部のサドルバッグになんとか入るサイズ。ライトな目的での持ち出し用にはこのくらいがちょうどいいように思う。
伸ばした時の形状と公称最大空気圧
写真は各ポンプの伸ばした時の形状。最もポンピングが楽なのは、少し太く、ボディー前部も長くて握り易いHP Drive。RaceRocketはボディー前部が短く、支える側の手が安定しない。BMP-22AEZはボディー前部が少し長いが、全体のストローク量が明らかに少ない。3本とも、充填可能とされている最大空気圧は同等程度。
HP Drive: 120psi / 8.3bar。
RaceRocket: 120psi。
BMP-22AEZ: 約800kPa(≒8bar)。
ロードバイク等のタイヤに7barとか8barまで空気を入れるのは、これらのどのポンプでも大変だ。自分が期待するのはパンクからの復帰で実走可能な程度まで空気圧を上げられることだが、縮めた状態でのサイズや形状が似通っていても、前述のようにポンピング時の差は意外に大きい。
対応するエアバルブ
これら3本のポンプは、いずれも仏式(Presta)と米式(Schrader)のエアバルブに対応している。
ちなみに自分が主に使っているのは仏式バルブのチューブ。第一に、仏式は空気が抜き易い。第二に、小さなアダプターを持っていれば米式バルブ(車やモーターサイクルと共通)や英式バルブ(ママチャリと共通)に変換できるので、それらに対応したポンプでも空気を入れられる、つまりガスステーションや大型の駐輪場など、自前のポンプが使えない時に駆け込める先が多くなる。
エアバルブへの接続方法
以下、各ポンプのバルブへの接続方法を比較する。
HP Drive。取り外し式ホースの片側が仏式用、反対側が米式用になっている。接続手順は次の通り。
1. 本体後部に格納されたホースを取り出す。
2. ホースをバルブにクルクルねじ込んで固定。
3. ホースとボディー先端を同様に固定。
ホースを本体に固定してからバルブに接続しても構わないが、そうすると本体ごと回るので少し煩わしい。なお、ホースにはABS(エアブリードシステム)という機構が採用されている。前掲の公式ページによると「取り外す際にプッシュすれば、ポンプ内部に残った高圧のエアを排出でき」るそうだが、本体側を先に外す使い方だと関係ない気がする。
RaceRocket。本体には取り外しのきかないホースが内蔵されている。接続手順は次の通り。
1. 本体の先端からヘッドとホースを引き出す。
2. バルブにヘッドをクルクルねじ込んで固定(本体は供回りしない)。
こう書くと単純だがイマイチな点もある。このシリーズの「スマートヘッド」は、仏式用として使う場合は予めヘッド部を最大に伸ばしておくのだが、その状態を固定できる機構にはなっていないので、バルブへの取り付け時にヘッドが縮みバルブコアが押されて空気が抜けないよう注意が要る。米式用として使う場合は、ヘッド部を縮めた奥にネジが切ってあるので、ねじ込んで固定しておくことができる。なお、仏式用に緩めた状態でも本体へのホースの格納に支障はない。
BMP-22AEZ。ヘッド部分の片側、青い方が仏式用、反対側の赤い方が米式用になっている。
1. ヘッドの樹脂部分の使いたい側が飛び出た状態にする(反対側が出ていたらグッと押せば切り替えられる)。
2. ヘッド部を引いてホースを伸ばす。
3. ヘッド部を反対側が飛び出すまでバルブにグッと押し付けて固定。
このヘッドの機構はPanaracerの02ワンタッチポンプ(据え置き用)に先行して採用されたもので、普段の空気の継ぎ足しには使い勝手が良い。だが、押しつけて固定するためには相手のバルブ軸が動かないことが重要になる。このため、パンク発生時に穴の位置を確かめる目的でチューブ単体に空気を入れる状況などにおいては、さらにチューブを傷めてしまわないよう気を遣う。
総評
冒頭で述べた通り、自分にとってはHP Driveが3本の中のベスト。ねじ込みによるバルブへの固定はやはり便利で、ポンピングそのものも最も楽にできる。RaceRocketは次点。BMP-22AEZのヘッドは面白いけれど、携帯ポンプとしての使いどころを狭めてしまうと思う。手軽に持ち出せて、かつトラブル時に安心して使えるものが好ましい。
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