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CATEYEの自転車テールライトWearable Xが凄く良い(他2機種と比較)

前置き

ITARDA(交通事故総合分析センター)が発行している「イタルダインフォメーション」のNo. 88によると、自転車で道路を走っている際の事故のうち、自分が安全運転していても避けられない可能性が特に高いのが自動車などに追突される事故で、事故が発生した場合の死亡率も出遭い頭の約10倍と非常に高いです。時間帯では夜間のリスクが高くなっています。

交通政策としては、自動車の交通量とスピードの抑制や自転車専用空間の整備によってリスクを減らすアプローチが望ましいですね。安全性の向上を装備やスキルといった形で個々人に負担させることは、自転車の利用ハードルを上げることに繫がります(ヘルメット義務化などもこの一例)。比喩的に言えば、鮫の群れに混じって泳ぐ方法を云々するよりも、鮫をどうにかするべきです。

自分は以上のことを踏まえた上で、走行ルートによっては(「鮫」のいる場所を通るために仕方なく)複数のライトを使ったり、バックミラーを装備したりします。テールライトも色々と買いましたが、これ、という製品に出遭うことはまれです。そんな中でも、ちょっと前に購入したCateyeのWearable Xには凄く満足しています。今回はこれを、手元にあった同じくらいのサイズの2機種と比較してみようと思います。

重量、取り付け方法、充電方法

今回の比較に用いたLEDテールライト3製品。写真左から、世代が古い順にKnog Boomer USB、Lezyne KTV Drive、Cateye Wearable X(SL-WA100)です。個人が少しずつ買い足したものですので、残念ながら同時期の製品の対決にはなっていません。およその重量はそれぞれ41グラム、50グラム、25グラム。Boomer USBはカバーとバンドが一体になっています。KTV DriveとWearable Xはバンドを外してクリップだけで装着することも可能なので、その場合は5グラムくらい軽くなります。ただしKTV Driveのクリップは、抜け易いのに分厚いというイマイチな作り。Wearable Xのクリップは薄くて邪魔になりにくく、先端に返しが付いていてまず勝手には外れません。

なおWearable Xはクリップ部から本体をひねって分離することができます。戻す時は押し込むだけ。これまで1000キロくらいの走行で使いましたが、本体の軽さもあってか、少々ガレた林道を下ったりしても脱落していません(降車時に脚が当たってサドルバッグに付けたクリップから外れてしまったことが一度だけありました)。もちろん、脱着を繰り返すうちに摩耗で保持力が弱くなることもあると思います。

電源はいずれも内蔵電池で、USB充電です。慣れてしまうと、電池を入れ替えるタイプにはちょっと戻れないなと感じます(道中で切れてしまった場合の対処法は考えておいた方が良いでしょう)。軽くてコンパクトで環境負荷も低く、構造的に雨にも強くなります。充電方式についてはケーブルを必要としないものが良いと最初は思っていましたが、挿し込む先のポート周辺の形状との相性もあるので近頃はケーブルあり派です。

発光パターン

自分がテールライトを選ぶ際に重視するポイントの一つが発光パターンです。点滅は目を引くものの(バッテリーも長持ちします)、「滅」の時があると位置を把握し続けるのが難しいと言われています(国内の法令との関係はここでは省きます)。こうした知見を反映してか、最近のライトには「滅」にならずに明るさが変化するモードを備えたものが増えてきているようです(「パルス」=脈動などと呼ばれています)。

Boomer USBにはパルスに相当するモードがありません。3種類の点滅モードの違いも微妙ですね。どう使い分けるかイメージしにくいです。透明のボディーが多少は光を拡散していますが、単一のLEDが眩しく、「点灯」モードは1種類だけで弱点灯などはありません。全体的に後ろの人の目に優しくないライトです。とにかくビカビカ光らせるというノリが時代を感じさせます(もうKnogのサイトにも製品情報がありません)。自分はどこかで投げ売りされているのを買ったような。この比較のために久しぶりに触ってみて、長押しオフ機能と前回のモードを記憶する機能(モードメモリ機能)があることに気がつきました。これで常用したくなるようなモードがあったら良かったのに・・・。

KTV Driveには「パルス」モードがあります。ただしモードメモリ機能がないので、消灯状態から3種類の点滅モードを経なければパルスになってくれません。こちらも単一LEDですが、厚めのレンズ部を経て外に光が出るためか局部的な眩しさは感じません。そもそもパワーが弱いというのもあります。国内代理店の製品ページによると光量は7ルーメンで、満充電からの使用可能時間は点滅3種とも約8時間半、パルスで約5時間半、点灯で約3時間15分。そこそこ重いのに短いですね。パルス発光がまだ珍しかった頃、ボディーに赤い反射シールを貼ってよく使っていました。今は出番があまりありません。ちなみに同じ名前で大幅にモデルチェンジした後継機が出ています。

Wearable Xは優秀です。いくつものLEDが大小2つのリング状に並んでいて、「パルス」モードではこれらのリングが交互に途切れることなく光ります。製品ページによると、満充電からの使用可能時間は両方のリングが光る「ハイ」(光量35ルーメン)が1時間、外側のリングのみが光る「ロー」が10時間、「点滅」で30時間、「ラピッド」と「パルス」が10時間、「バイブレーション」が13時間。電池残量が少なくなると、遅い点滅の「バッテリーオートセーブモード」になるとのことです(未体験)。軽いのにKTVなんかよりずっと長持ちです。内蔵電池やLEDの性能が良くなっているのもあると思いますが、低出力でも尾灯としての機能が最大限に発揮されるように設計されている感じがします。広いレンズ面に上手く光が散っているからか、ツーリングで後ろを走っていた友人も「眩しくない」と言っていました。普段は「ロー」を使い、少し交通量のあるところでは「パルス」にすることが多いです。前回のモードを記憶してくれるのも便利。

まとめ

Wearable X、とても好きです。軽量でコンパクトでシンプルで、取り付け方法も洗練されています。無駄な眩しさを抑えながら目立つように作られていて、連続使用できる時間も長く、操作性も良好。レギュラーとして選びたくなるモードがあり、だからこそモードメモリ機能が役立ちます。丸くてつるっとした、欠点の見当たらない優等生。クラシカルな自転車にも似合うのではないでしょうか。クリップやバンドを追加購入して色々と使い回そうと考えています。

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