『嫌われる勇気』が世界的なヒットとなったこと

 『嫌われる勇気』が世に出てから10年近く経ったらしい。私自身は出版されて間もない頃にこの本を手にしたような気がする。衝撃的な内容で、あっという間に読み終えた。それから何年間か私の座右の書となった。自分一人のものとしておくのは勿体ないので、色んな人にプレゼントした。友人、教え子、母、恋人(今の妻)、恋人(今の妻)の母、等々。
 つい最近、イタリア人の友人が人間関係に悩んでいたのでこの本をプレゼントしようと思いついた。イタリア語に翻訳されていことは、知っていたか。アマゾンイタリアを検索してみると、大量のレビューが付いているではないか!しかも、日本のそれと同じく激賞に次ぐ激賞。 試しにフランス版やドイツ版をみてみても結果ほ同じ。アメリカの本家アマゾンに至っては日本のそれと比肩するほどの量のレビューが寄せられていた。
 日本でこの本がベストセラーになったことには、特に驚かなかった。自分自身が衝撃を受けたし、プレゼントした方々もほぼ例外なくよい反応を示していたからだ。ただ、日本程人の目を気にする文化がない(と思っていた)欧米で、ここまでヒットする、これはかなり予想外のことであった。
 しかしよく考えてみると、この本はわが国固有の状況というより、現代世界全体が抱える問題への対策の一つを示すものなのかもしれない。SNSに象徴されるアテンション・エコノミー。どこの国の人も、承認欲求に振り回され、本当の幸せを見失っているのだ。
 とまあこんなことを考えていると、久しぶりに『嫌われる勇気』を読み返したくなってきた。勉強も兼ねて、今度はドイツ語で読んでみようかしらん。
 

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