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経営者は「変化」にどう向き合うか - ヘラクレイトスの教えから学ぶ

「同じ川に二度と入ることはできない」 - あるのは変化だけ

「万物は流転する」――古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスが残したこの言葉は、現代の経営者にこそ響くメッセージを秘めています。

川の流れを想像してみてください。
一見同じに見える川でも、刻一刻と変化しています。
水は流れ、川底の小石は形を変え、景色も移り変わっていく。

だからヘラクレイトスは、「「誰も同じ川に二度と入ることはできない」と説きました。
彼が言いたかったのは、世界のすべてのものがこの川のように、常に変化し続けているということです。

企業も例外ではありません。
「うちの会社には確固たる文化がある」と豪語する経営者もいますが、それは幻想です。
従業員は入れ替わり、環境は変化し、顧客ニーズも移り変わっている。
会社だけが同じであり続けることはできません。

しかし、これは悲観すべきことではありません。むしろチャンスです。

変化は避けられないと知れば、それを恐れる必要はなくなります。
変化を味方につければ、より大きな成長のチャンスが訪れるはずです。

「船」から学ぶ、組織の本質

古代ギリシャの哲学者テセウスは問いかけました。
「船の部品を全て取り替えたとき、それはもとの船と同一か?」

これを企業に置き換えてみましょう。
創業期のガレージから上場企業のオフィスへ。従業員3人から3000人へ。主力事業が変わり、創業者も引退した。
これはもとの会社と言えるでしょうか?

多くの経営者は「イエス」と答えるでしょう。しかしここはあえて「ノー」と言うことで、見えるものがあると思います。
もとあった「会社」はもはや、別の存在になっているのです。

でも、それは悪いことではありません。「別の存在」になることこそが、企業の成長の証なのです。

「変化」を恐れるな、「変質」を恐れろ

組織の成長段階で本当に恐れるべきは「変化」ではなく「変質」です。

変化とは、より良いものへの進化です。
一方、変質とは本質を失うこと。創業時の志や理念を忘れ去ることです。

多くの企業が陥る罠は、変化を恐れるあまり、気づかぬうちに変質してしまうこと。
形だけの理念を掲げ、本質を失った空虚な組織になってしまうのです。

「同じ川に二度と入ることはできない」。
昨日の成功体験は、明日の足かせになるかもしれません。

常に自らを変革し続ける勇気が必要です。
それは時に痛みを伴うかもしれません。しかし、その痛みこそが、新たな成長の証なのです。

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