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適切な距離をとり構造を理解する

為末大著『熟達論』は、現代の五輪書と言われ、熟達のプロセスを「遊」「型」「観」「心」「空」の5段階で捉えています。表表紙にある「人はいつまでも学び、成長できる」という言葉は、壁に貼っておきたくなるような印象的なものです。
3つ目の段階「観」は、解像度が上がって「部分・関係・構造がわかる」段階です。

仕事でもマニュアルを教えてもらいやってみるのが、第2段階の「型」であるとすると、「観」は繰り返しやってみることで、なぜその手順になっているかなどが理解できるようになる段階だと思います。理解できているとイレギュラーにも対応できます。

私はいくつかのコミュニティに属しています。勤務場所としての市役所やPTAやおやじの会でのつながり、ボランティア・サークルやファシリテーションのグループなど。これらは自分のコミュニティを相対化するのに役立っています。あまりに距離が近すぎると観察して構造を理解することができません。他の視点から適切な距離で観察することで、違和感に気づくことができます。
一方でどのコミュニティにも共通する部分も多いです。人間的な営みは変わらず共通していますし、グループ内で対立するときの構造も似ています。本書に「一見関係ないものから学んで、活かせる人は構造が見えている。表面は違っても奥にある構造には共通点がある。」とあります。

「観」の段階になるには、ある程度、それに「浸かってみる」のが必要である気がします。日本のことをある程度理解していないと、せっかく外国に行って日本の理解が深まらないイメージです。
他業種との交流や地域コミュニティへの参加などは大切ですが、自分の職場のことをまず理解し、そこでの「型」が身についているからこそ、他者との交流で新たな発見を手に入れることができるのだと思います。
傍観者ではなく、主体的な観察者として「観」を使っていきたいです。

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