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僕は飲みません

男性の利用者さんでご自身のことを「わし」と言う人はほとんどいないことに気づいてしまいました。
#相場は僕とか私

こんにちは、世紀の大発見だと思っているコッシーです。


さて、ある朝のことでした。
朝食も終わろうとしている時にある男性入居者の足元に薬が1錠落ちていることに気が付きました。

人によっては大量のお薬を服用される方がいます。
つい手元からこぼれて下に落ちたことに気づかない場合は多々あります。
その方も1錠落としていることに気づいてない様子でした。
足元に落ちているお薬を拾ってその方に差し出しました。

「お薬が一つ落ちていましたよ」

その方は僕の手のひらにあるお薬をジッと見つめて、

「僕は飲みません!」

と服用を拒否されました。

普段お薬を嫌がることがなかった方だけにその発言に驚きました。
ただ、もしかするとその日は体調が優れないのかもしれません。
気分が悪い時に薬を拒否される方は稀にいらっしゃいます。

「気分が悪いんですか?」

「そんなことありません」

「では薬を飲みましょう」

「僕は飲みません!」

特に体調が悪いわけではないのに薬の服用を拒否されます。
高齢者が服用されている薬の中には正直飲まなくて大丈夫じゃないかなという薬がある場合があります。(あくまで個人的に)

今回の落ちていた薬もその可能性があるかもしれないと思いました。
だとしたらこんなに嫌がるのに無理に飲まなくても良いかもしれません。
念のためお薬の成分を調べてみました。
落ちていた薬は【チラーヂン】という甲状腺ホルモンを補う薬でその方にとって非常に重要なお薬でした。

「○○さん、このお薬は大切な薬だから飲みましょう」

「いや僕は飲みません」

僕がいくら薬の重要性を訴えてもその方は首を縦に振りません。
いつもはすんなり服用しているのにその日に限って何故そんなに嫌がるのか分かりませんでした。

「なんでそんなに飲みたくないんですか?」

「だって床に落ちたから汚いじゃないですか」

そこ!?


飲まない理由はまさかの床に落ちたから汚いでした。
僕らのやり取りを聞いていた同じテーブルの女性入居者さんが僕の手のひらからお薬をヒョイと取って薬にフーフーと息を吹きかけました。

「はい、これでもう汚くありませんよ」

そう言って男性入居者さんに手渡しました。
いやいや、そんなんで納得するわけないだろと思っていましたが、男性入居者さんは「ああ、そうかね」と言って普通にお薬を飲みました。

いや飲むんかい(笑)
今までのやり取りは何だったのかと思いましたが、朝から微笑ましい光景が見れてホッコリしました。


皆さんももしお薬が床に落ちてしまった場合は、フーフーしてください。
そうすれば服用しても大丈夫なようです。


それではまた

コッシー

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