【Worlds end】
2019年に発生した新型コロナウイルスは程なくして日本列島にもやってきた。
2020年3月頃からジワジワと広がっていき、2021年~2022年にかけて爆発的に感染が拡大した。
それは世界の常識をも変えるほどの壮絶さで、これまで僕らが当たり前と思っていた日常の多くは失われた。
それは介護現場でも同様で、普通にやっていた多くの事が普通に出来なくなったどころか、全く禁止されてしまった事もあった。
カラオケや外出レク、夏祭りやボランティアの方によるイベントなど、利用者が楽しまれていた事がここ数年の間実施出来ないでいた。
もしかすると工夫次第で実施可能なイベントもあったかもしれない。
しかし未知のウイルスの恐怖は僕らから前向きな気持ちを奪い、消極的にさせた。
じきに終わると思われていたこの恐怖は想像を遥かに超えて長くとてつもなく永く世界を覆い尽くしていた。
まるで永遠にも感じたその期間は、二度と過去の日常は戻ってこないと錯覚させるに十分過ぎた。
僕らの知っている世界は終わった。
そんな風に思ったことは一度や二度ではなかった。
しかし、ここにきてようやく希望が見え始めた。
今月の8日から新型コロナウイルス感染症の分類が2類相当から5類へと移行された。
これにより世間ではあらゆる事が緩和された。
マスク着用が任意となったり、外出の制限が無くなったりと少しずつ以前のような日常が戻ってきているように感じる。
介護施設においてはまだまだ気を緩めるわけにはいかないが、少しずつ一歩ずつかもしれないが活動の幅を広げていきたい、そう思っていた。
どうやら現場のスタッフも同じ気持ちだったようだ。
デイサービスのスタッフたちからコロナ禍でずっと出来ていなかった外出レクを今月からやりたいと声が上がった。
事業所近くの喫茶店に数名の利用者をお連れして、コーヒーとお好きなケーキを食べるというイベントだった。
もちろん、二つ返事で了承した。
ただ一つだけ条件をつけた。それは僕も参加させてもらうこと。
本当に久しぶりの外出レクにどうしても利用者の反応を間近で見たかった。
先日、利用者を乗せて近くの喫茶店までお連れした。
喫茶店でコーヒーを飲みながらケーキを食べる。
コロナ前には当たり前にやっていた事。
たったそれだけの事だけど、利用者さんたちは本当に本当に喜んでくれた。
一緒に行ったある男性利用者は興奮気味にこう話されていた。
「コッシーさん、僕はね今とても楽しいです!とってもとっても楽しいんですよ!」
大きな声で言うもんだから、一緒にいた利用者さんが笑った。
男性利用者は照れながらも笑っていた。
僕やスタッフも笑った。
この先、コロナがどうなるかは誰にも分からない。
ともすればまた世界が暗闇に包まれることがあるのかもしれない。
それでもきっと世界は終わらない。
こうして再び日常は戻ってくる。
その日の利用者たちの笑顔はそう確信させてくれるほど眩しかった。
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