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おまロスへようこそ

愛知県の田舎町に小さなお店がありました。
ひとりのシェフが切り盛りするそのお店のメニューはたった一つだけです。
それはみんなが大好きなローストビーフロービー

シェフであるコッシーが心込めて作るロービーは食べた人を笑顔にすると評判です。
ここはロービー専門店【おまえもローストしてやろうか】通称【おまロス】
おまロスでは今日もロービーの注文が入ります。


お店も閉まろうとしている夜のことでした。
コッシーシェフの電話が鳴りました。

「お電話ありがとうございます。【おまえもローストしてやろうか】でございます」

「ああ、わたしです」

電話はこの店の女性オーナー奥さんからでした。

「急で悪いんだけど、明日みんなでお花見することになったからロービーをお願いします」


どうやら明日のお花見女子会にロービーを持っていきたいとのことでした。
しかしあいにく明日はお店が定休日普通に仕事です。
コッシーシェフは申し訳ないと思いながら断ろうとしました。


「明日…ですか。申し訳ありません。あいにく明日はお店が休みでして、ロービーをご用意することは出来かねます」

「今日作ればいいじゃん」

「え?きょ、今日でございますか?」

「うん、今日」

「これから、ということですか?」

「うん、これから」

「……かしこまりました」


おまロスではオーナーの言うことは絶対なのです。
逆らうことは許されません。

コッシーシェフは意を決してお仕事帰りにスーパーへ車を走らせました。
精肉コーナーでお肉を吟味し購入します。
家…じゃなくてお店に戻りローストの始まりです。

…と、ここで良い機会なので普段コッシーシェフがどのようにロービーを作っているかフォーカスして見ましょう。
別に興味ないと思われる方もいると思いますが、記事にでもしないとやってられない…じゃなくてたまにはこういうのも新鮮でいいじゃないですか。
今日だけお付き合いください。


それではレッツロースト!!


🍖🍖🍖🍖🍖


ロービーで大切なのはやっぱりスパイスです。
おまロスではいろんなスパイスをご用意しております。
その日のコッシーシェフの気分次第で味付けが変わります。
なんとなく横文字のスパイスの方がそれっぽく見えるので好んで購入しているのは内緒にしてください。


お肉をスパイスしたラップして30分ほど寝かせて常温に戻します。
常温に戻すことにより肉の外側と内側の温度差がなくなり均等に火が通るようになります。
ってなことがネットに書いてありました。詳しくは分かりません。


肉を焼くときに使用するのがオリーブオイルです。
なぜオリーブオイルなのかと聞かれたらカッコいいからとしか言いようがありません。
ほら、サラダ油ってなんとなくダサいじゃないですか。
#サラダ油に謝れ


オリーブオイルをフライパンに敷いたらお肉をローストしていきます。
「こんがりローストしてやるぞ!」と肉に語りかけながら焼くとストレスが解消されて良いという噂です。


お肉の外側に満遍なく焼き目を付けていきます。
ここで「熱いのかい!苦しいのかい!それが良いのかい!」なんて女王様風に肉に語りかけるのは虚しくなるでやめましょう。


こんがり焼き目をつけたお肉をアルミホイルで包みます。
余熱でお肉に火を通します。
大好きなあの人の愛情を逃がさないようにお肉の熱を逃がさぬようしっかりと包みましょう。
粗熱が取れるくらいまでしばらく寝かせます。


粗熱が取れたらお肉をカット…するのは素人がやることです。
プロローストビーファーのコッシーシェフはここでもう一手間加えます。
アルミホイルに包んだお肉をそのままビニール袋に入れて60℃くらいのお湯に湯せんします。
湯せんすることで肉が柔らかくなるらしいのですが、その辺はよく分かりません。
ただ、一手間加えたということで恩着せがましく言えるじゃないですか。
わざわざ感が出てありがたみが増すと思うんです。そういう作戦です。


10分~15分ほど湯せんしたお肉をまた粗熱が取れるまで寝かせます。
ここで焦ってカットしてはいけません。
熱いまま肉をカットするとロービーにとって最も大切な肉汁がジュンジュワーしてしまいます。
ほら、恋愛でも熱い気持ちのままガンガン押すのではなくて、一旦冷静な気持ちになって引いてみるのが大事って言うじゃないですか。
うん、全然違いますね。


粗熱が取れたらいよいよ肉をカットしていきます。
ここで登場するのがコッシーシェフ自慢の愛刀『エクスカリバー(今名前つけた)』です。
ロービーは本当にカット命です。
普通の包丁だとめちゃくちゃ切りにくいため厚めに肉がカットされてしまいます。
エクスカリバーが用意できない方はパン切り包丁をおススメします。


ご覧ください、この肉の断面の美しさを。
桜のピンク色に負けないほどのキレイなピンクです。
見る者全てを魅了するロービー。
これはお花見の主役は決まっちゃいましたね。
桜に申し訳ないですね。桜、ごめんよ。


先ほども言いましたがロービーはカット命です。
肉の厚さは3ミリが1番美味しいです。
5ミリでも1ミリでもありません。3ミリです。間違いありません。
はい、うるせえですね。黙ります。


カットしたお肉をサラダの上に並べていきます。
パックに入ったサラダはそのままパック使用できるのでおススメです。
こら!貧乏くさいとか言うヤツは誰だ!
コストパフォーマンスが良いと言いなさい!
そんな事言うヤツはローストしてやろうか!


サラダの上に並べたお肉に特性ソースをかけていきます。
このソースはお肉を湯せんした時に溢れ出た肉汁にニンニク(チューブ)だけ
を加えたモノになります。
肉汁がもう美味しいので余計なことはしなくて良いのです。
素材を活かす、これもプロの仕事ですね。


そして完成です。
いつもながら完璧ですね。
この美しいロービーについて小1時間ほど語りたいところですが、なぜかは分かりませんが瞼がどんどんと閉じていくので(現在の時刻24時)、今日は休ませてもらいます。
おやすみなさい…

🍖🍖🍖🍖🍖


いかがでしたでしょうか?おまロス特製ロービーの出来栄えは。
きっと明日…いや今日の女子会に華を添えることでしょう。
#花見だけに

ここはロービー専門店【おまロス】。
あなたからの注文を心よりお待ちしております。

ただ、シェフが気まぐれでオープンするため定休日だった時はご容赦くださいね。
ブーブー文句を言う人はローストしちゃうぞ♡


それでは素敵な日曜日をお過ごしください。

コッシー

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